涼香の誕生日会にて 17

「心霊部からは、『実録! 夏休みの怪異!』のブルーレイ‼」


 これから後半戦のプレゼント渡し。


 心霊部のプレゼントを受け取った涼香りょうか涼音すずねを見る。


 涙目の涼音が顔を背ける。


 ((((((((((可愛い……))))))))))


「十点」

「どうして⁉」

「涼音が怖がっているからよ! でも私個人としては面白いから三百点をプラスするわ‼」


 心霊部――三百十点


「続いては――。紗里さりちゃん持ってて」


 紗里にマイクと持っていた紙を渡した若菜わかなが教室から出ていく。


 突如渡された紗里が黙ってもらった紙に目を通す。


 「……なるほど」


 その紙は今回の、涼香の誕生日会の進行表だったらしく、そこにはプレゼントを渡す順番が書かれていた。それによるとバスケ部は二組先だ。


「次の部活は……まだあったのね。天文部」


 紗里の言葉で、天文部の面々が入って来た。


「天文部からは、綺麗な星空が見えるスポット一覧です! 涼音ちゃんと見に行ってください!」

「なかなか凝っているではないの。ありがとう、涼音と見に行くわ。四百点」


 天文部――四百点。


 これで天文部は暫定二位に入り込み、周りからは拍手が起こる。


「次は服飾部」


 天文太の入れ替わりで、服飾の面々が入って来る。


「服飾部からはドレスです!」


 そこで、おお! と歓声が起きる。


 なんだかんだで涼香のドレス姿を見たことが無いのだ。


「勿論涼音ちゃんのドレスもあります」

「なんですって⁉」


 ガタンっ、と涼香が立ち上がる。ちなみに涼音の表情は消えていた。


「満点よ! 満点に決まっているではないの!」


 涼音のドレス姿を見ることができるなんて、満点など突き破ってもいいぐらいだ。


「じゃあ、服飾部は満点ということで」


 紗里が服飾部に満点と書く。


「着替えるのは最後にしましょうか。じゃあ、次はバスケ部ね」


 この学年で、特に涼香と親しい若菜の所属するバスケ部だ。


 これは高得点が期待できる――はずだった。しかし、まさかの服飾部が満点をたたき出したのだ。もはやバスケ部に期待するのは満点だ。


 そんな空気が満たす教室内の様子を窺いながら、若菜達バスケ部は唇を嚙むのだった。

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