涼香の誕生日会の準備中にて 4

「そういえばあなた達、髪の毛が金キラ金ではないの」


 占い部であるはるあきは、占い部のくせに占いができないため、さっそく暇になった五人。


 会話の糸口を見つけた涼香りょうかは、なぜか金髪になっている聖夜いぶ星音夏せとかに聞いてみた。髪型はいつも通り前髪をかき上げているが、その色が黒ではなく金なのだ。


「激しい怒りで目覚めたのかしら?」

「夏休みだから染めただけ」

「うちらもう学校決まってるしねー」


 あや凛空りくとは違い、成績は涼香程ではないが良くはなく、授業態度はお世辞にもいいとは言えない二人だ。勿論髪の毛を染めるなんてできない。しかし、夏休みという学校からの目が無い間だけは染めている。


「確か、聖夜が保育で、星音夏が看護の専門学校だったわね」

「「ほえー、もう決めてんだ」」

「この学校って三割ぐらいは専門に進学するんじゃない? 知らないけど」


 聖夜の言う通り、専門学校などのAO入試の学校は、既に受けてる生徒は多い。


「決まったから気が楽でいいわー」

「私が受験を控えているにも関わらず、お気楽なものね」

「「えっ、涼香ちゃん進学するの……」」

「ヤバ……‼」「マジ……⁉」


 何気なく発せられた涼香の言葉に、その場の四人は恐ろしいものを見たような表情を浮かべる。


 それもそうだ、この場にいる五人の中で、一番成績が悪いのは涼香だ。そんな涼香が大学を受験するなんて想像もつかない、そもそも行ける大学があるのかどうかが分からないレベルだったのだ。


「失礼ね」


 しかし、涼香は夏休みを勉強に費やした(土日祝)のだ。


「今の私は、あなた達より勉強できるわよ。ここにいるのがあなた達のもっとも恐れていたスーパー受験生よ」


 夏休み前の涼香だと思っていれば、痛い目に遭うだろう。


「「別に恐れてないんだけど」」

「うっそだあ」「信じらんない」

「二学期最初の模試? みたいなもので見せてあげるわ、私の強さを」


 四人の返事に、どこか不満げな涼香であった。

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