涼香の誕生日会の準備中にて 2
空き教室といっても、分割授業で使うこともあり、机や椅子の配置はクラスの教室と変わらない。
「「待ってたよ」」
涼香が空き教室に入れられる。すると、先に教室にいた生徒が涼香を出迎えた。
「あら、
待ち構えていたのは、身長体重顔のパーツの配置、それらが全く同じ二人――
「「どっちが春と秋でしょう!」」
春と秋は全く同じ動作から、同じ声音、抑揚で涼香に問いかける。
これは占い部である春と秋のよくやる、『双子占い』というものだ。この占いは単純で、どちらが春と秋なのかを当てるだけ。当てればその日は幸運、外せば不運ということだ。
ちなみに涼香は学校がある日は毎日しており、今まで外したことが無い。
前後に立った春と秋を見て、涼香は特に考える素振りも無く答える。
「前が秋で後ろが春ね」
「「ピンポンピンポーン」」
「うわマジか」「引くわー」
涼香と春秋にとっては当たり前のことだが、それを噂程度にしか聞いていなかった生徒はちょっと引いた声を上げる。
涼香を空き教室まで引き摺って来た生徒――
涼香を入れ、現在空き教室には四人。これから涼香の誕生日会が始まるまで時間を潰すのだ。
「「二人も当ててみな!」」
「さあ、当てなさい!」
涼香が春と秋を隠し、春と秋はクルクル回ってシャッフル。そして二人で横並びになる。
「外したら不幸になるからやだ!」
「うちらにこれ以上不幸になれって言うの?」
聖夜と星音夏が絶対嫌だと首を振る。双子占いを外したことによる不幸がどれ程のものかは知っているからだ。主に
「安心しなさい。二人別々に選べば片方は幸運よ」
「片方に犠牲を強いるのはどうかと思う」
聖夜のまともな言葉に、星音夏も重ねる。
「うちら馬鹿だけどそういうことはしないから」
「……それもそうね。まともなことを言うではないの」
「「おお……。珍しく涼香ちゃんが黙った」」
「左が春!」
「「ピンポンピンポーン」」
「マジでおかしいよ!」「ほんと引くんだけど!」
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