盆休みにて 6
「ねえ
母がそう言うが、涼音は頑なに見ようとしない。
固く閉じた目と口、なにも見ないしなにも言わない。無視を決め込んでいる様子だ。
「
そう言って涼音の様子を伺う。
――目を開けてガン見していた。
しかし今度は母が無視をする。
「涼音ちゃん寝ちゃったからなあ……みんながいる場所に戻ろっかな」
涼音を放って、居間に戻ろうとする。そんな母の足を掴むのは涼音。
「…………」
「…………」
二人の視線がぶつかり合う。
母は涼音を引きずりながら、部屋から出ようとする。ずりずり移動しながらも、涼音は頑張って母の足を掴む。
「…………」
「…………」
再び二人の視線がぶつかり合う。
「写真消去しちゃお」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああっ‼」
「嘘でーす」
「もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ‼」
こんな単純なウソに引っかかる程、涼香成分が足りていない涼音。
下唇を噛みながら、涙目で睨みつけてくる涼音に微笑みかけながら――。
「でも見せないよ」
そんな簡単に見せるなんてことはしない。
「だって涼音ちゃんの機嫌が悪いから」
「ごめんなさい機嫌治すからぁ!」
縋りつく娘を笑顔で見る母を、涼音は恐ろしいものを見たような表情で見るのだった。
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