盆休みにて 5

「あら? ねえ涼香りょうか、見なさい」

「……なによ」


 なにもする気の起きない涼香の目の前に、母がスマホの画面を見せる。


 写っているのは床に寝転んでいる涼音すずねの写真だった。


「今の涼音ちゃんらしいわ」

「涼音を見せてしてやったり、ということでしょうが、……そうはいかないわよ!」


 涼音を見せられても一向に動こうとしない涼香である。


「それはそうともっとしっかり見せて!」

「嫌よ」


 見せてくれたのなら動いてやろうと思った涼香だったが、母に断られ、芽生えた気持ちが一瞬で萎えた。


「見たいのなら起き上がりなさい」

「それはできないわね……涼音が足りないわ」

「なら残念、動けない涼香を動かすため、お父さんを呼んでくるわね」


 その瞬間起き上がる涼香である。


「じゃあ、精々寝てなさい」

「待って起きてるわ、起きてるではないの‼ お母さん止まって、嫌よ、嫌よ!」

「動けるじゃないの」


 ようやく起き上がったかと、ニヤリと笑う母を、恐ろしいものを見たような目で涼香は見るのだった。

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