涼音の部屋にて 22

 部屋の隅で、一人スマホでホラー映画を見始めた涼香りょうか。そんな涼香なんてどうでもいいと、涼音すずねはローテーブルの上に人生ゲームを広げていた。


 涼香が映画を見ている間に一人で遊ぶのだ。


 静かな部屋に、カラカラカラっと人生ゲームのルーレットの回る音が響く。しかし、不意に涼香のいる方から大きな音が聞こえた。


「うるさいですね」


 そう言うと、涼香は涙目になってイヤホンを探し始める。見つけたイヤホンを装着して、再びスマホに画面を戻す。


 人生ゲームは一人ですると、すぐに終わってしまう。終わった涼音は人生ゲームを片付け、映画を見ている涼香を見る。


 たまにはやり返すのもいいかもしれない。そう考え、涼香の顔とスマホの間に頭を突っ込む。

 突如目の前に現れた涼音の顔。涼香は涼音の目を見つめながら、片耳だけイヤホンを外す。そしてそのイヤホンを涼音の耳に入れる。


「ぎゃっ――‼」


 すると聞こえるのは、登場人物がパニックになりながら扉を叩く音だった。


 慌ててイヤホンを外した涼音。今度は涼音が涙目になっていた。


「先輩の意地悪!」


 自業自得なのだが、涼音は布団に包まるのだった。

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