水原家にて 41

 おにぎりを握り、これにて終了――と思いきや、なにか物足りなさそうな顔をする涼香りょうか


「なにか足したいわね」

「冷蔵庫にカニカマありませんでした?」

「それよ!」


 冷蔵庫からかにかまを取り出して皿に置く。


 おにぎりのカニカマ添えの完成だ。涼音すずねは皿にラップをかける。


 これで夜食づくりは終わりだ。お小遣いを頂いて眠ることにしよう、そう思って封筒を取ろうとしたが――。


「あら、くっ付いているわね」

「えぇ……」


 涼音も封筒を取ろうとするが、テーブルにくっ付いており取ることができない。


「はあ?」


 そして涼香の母はまだ風呂から出てこない。こうなれば、文句を言いに行くしかない。涼音は涼香を連れて洗面場へ向かう。


 浴室内から音は聞こえない。今は湯船に浸かっているのだろう。


「お母さん。涼音がもの申したいらしいわ」

「聞こうじゃないの」


 ちゃぷりという音が聞こえた。


「ほら涼音、言いなさい」

「火をかけっぱなしにするな‼」

「だってあなた達、下りてきていたでしょ?」

「だからって無言で立ち去るな‼」

「メモを置いていたはずよ」

「親子そろってああ言えばこう言う! まずはごめんさいでしょうが‼」

「「ごめんさい」」

「わかればよろしい」


 そう言って涼音は脱衣場から立ち去る。取り残された涼香に、母が声をかける。


「怒られてしまったわ」

「当然ね」

「それにしても、涼音ちゃんどうしたのかしら」

「深夜テンションよ‼」

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