水原家にて 38
「いいから始めるわよ」
確かにそれもそうだと、涼音も構える。
「「じゃんけん――!」」
腕を振り上げながら考える。
相手の出す手が見える程の動体視力を持っている訳ではないため、正真正銘の運勝負なのだ。むしろ、なにを出そうか、なにが出されるか、それを考えてしまうと、その思考を読まれて確実に負ける。涼香の母はそんなことを考えられるレベルの頭脳の持ち主だ。
「「ぽん!」」
涼音の手はパー、涼香の母はチョキ。
「……負けた」
べたんと机に伏す涼音である。
涼香と涼音、二人の負けだ。つまり――。
「お小遣いは無しね」
こうして、真夏のお小遣い探しは呆気なく幕を閉じるのであった。
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