清水家にて 2
四人がお菓子をつまみながら、めいなが戻ってくるのを待つ。
「菜々美達慣れてない?」
沈黙に耐えられなかったのだろう。若菜は菜々美とここねにとりあえず聞いてみた。
涼音も、菜々美とここねがめいなの家に来るのが初めてではないだろうことは分かっている。それでも暇だったため、若菜に同意するよう頷いている。
「それはまあ……色々あったのよ」
「わたしたちは被害者だから……」
「「えぇ……」」
まさかの返答。色々あったのはまあいいが、被害者とはどういうことだろうか。それを聞いてみようとしたところ、ドタバタと音が聞こえ、黒い鞄を大量に抱えためいなが戻ってきた。
「おまたせ! これ! 頼まれてた物!」
めいなは鞄をテーブルに置こうとしたが、テーブルの上に色々置いてあるため、その鞄を床に置いた。
重たく硬い音が鳴り、なにも聞かせれていない若菜や涼音も、大体の中身を察することができた。
「わあ、久しぶりに見ました。盗撮カメラ」
「ひぇっ⁉」
ここねが笑顔を向けると、めいなの頬を汗がつたう。
「「盗撮……?」」
涼音と若菜の言葉が被る。あまり穏やかでは無い言葉だ。
「そうだよ、めいなさんは盗撮犯なの」
朗らかに笑っているように見えるここねだったが、その瞳は光を失っていた。
「私達が一年生の時の話よ。私とここねはめいなさんに色々と盗撮されてたみたいなの」
ここねの言葉の補足を菜々美がする。
「学校内だけ……ってこと?」
「そのはず。もしかすると――」
「もうやってません‼」
「らしいわよ」
「なるほど……」
涼音達の通っている女子校は、なぜか一学年に一人、超絶美人の生徒がいる。慣れてしまっている同じ学年の生徒ならまだしも、他学年には、やはりそれなりにファンがいる。
「涼香は写らないから、菜々美達を撮ったってこと?」
「なぜか先輩って映りませんよねぇ」
体育祭の時、涼香は他の学年の生徒と写真を撮っていたが、恐らくその全てが、なんらかの要因で涼香だけ写っていないだろう。
「違うの‼ 確かに涼香ちゃんは綺麗だけど! 私は菜々美ちゃん達を撮りたかったの!」
今まで空気だっためいなが弁明する。
「だからって盗撮はダメですよ?」
「ここねちゃん怖いぃっ⁉」
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