清水家にて

 扉の攻防は菜々美ななみとここねが勝利を収め、めいなは車を駐車場に駐めてもらうようお願いした。


 受け取ってすぐ帰るはずだったのだが、渋々車を駐める菜々美。


 そして今四人は、清水家へお邪魔していた。


「私の見立てによると、この家、断熱材が入ってるね」

「え、普通じゃないの?」


 若菜わかなの言葉に菜々美が返す。


「これだから金持ちは……」


 ぐぬぬと唇を噛み締める若菜。


 四人は今、リビングのテーブルに二対二で向かい合っていた。


 めいなは台所で麦茶をコップに入れながら、慌ただしくお菓子の準備もしている。そこまでしなくてもとここねが言ったのだが、聞き入れてくれなかった。


「あの駐車場、車三台ぐらい駐めれるよね」

「でも三台置いちゃうと、後ろの車出す時大変だよ」


 若菜の言葉にここねが返す。


「これだから金持ちは……」


 再びぐぬぬと唇を噛み締める若菜。


 するとようやく、お菓子を見つけられためいなが、麦茶と一緒に持ってくる。


「おまたせ! さ、食べて食べて」


 四人は礼を言ってお菓子を頂くことにする。


 その間に、めいなは言われていたものを取りに行くらしく、リビングから出ていった。


「このお菓子……箱に入ってる良いやつだ……」

「結構普通に手に入りますよ」


 若菜の言葉に涼音が返す。


「これだから金持ちは……」


 またまたぐぬぬと唇を噛み締める若菜であった。

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