檜山家にて 5

「やっぱりホラー映画で――」

「絶 対 嫌‼」

「言い切っていないではないの」


 夏休みの昼下がり、やることの無い涼香りょうか涼音すずね


 暇すぎて暇すぎて、暇つぶしの提案をした涼香を、涼音は睨みつける。


「な ん で‼ 嫌だって言ってるのにホラー映画観させようとするんですかね!」

「私が観たいからよ」


 なにを当たり前のことを言っているのかしら? そう言いたげな涼香。


「だったら一人で観ればいいじゃないですか!」

「あら、そうすると涼音は一人になるではないの。それでもいいのかしら?」


 涼香がホラー映画を観ている最中、一人部屋で篭もる涼音。


 涼香がホラー映画を観ている。ホラー映画……、それだけで怖い涼音は、部屋で布団に潜り込む。聞こえる足音、映画を観終えた涼香だと思ってドアを開けるが、そこには誰もいない……。


「よくないですよ!」

「それなら一緒に観るのよ!」

「絶対嫌‼」


 要らぬ想像をしてしまった涼音は既に涙目であった。

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