涼音の部屋にて 19

「さて、それでは始めたいと思うわ」

「いきなりなんですか」


 割とよくある、いきなりなにかをしようとする涼香りょうかに、涼音すずねは面倒そうな目を向ける。


 ロクでもないことなのか、まともなことなのか、その見極めは難しい。


「会議よ」

「はあ」


 そう言って涼香はスマホを起動させる。そして、メッセージアプリを開き、菜々美ななみに電話をかける。


「えぇ……」

「安心しなさい。そういう予定だったのよ」


 すぐに菜々美が出た。すると涼香はビデオ通話に設定する。菜々美もビデを通話に設定したらしく、涼香のスマホの画面に菜々美の顔が映る。


『ねえ、なにするのかしら?』

「かけるという予定だけだったんですね」


 呆れた涼音の声に菜々美が気づく。


『あ、涼音ちゃん。こんにちは』

「こんにちは」


 手を振ってくる菜々美に頭を下げる。


「それでは始めるわよ‼」


 割り込んできた涼香が宣言する。


『私なにも知らないんだけど』

「心配無いわよ。私に任せなさい!」

「会議するらしいですよ」

『なんの⁉』

「あたしも分かんないです」

『えぇ……』


 困惑する菜々美であったが、もうどうしようもないことは知っている。大人しく付き合うことにしたのだ。


「最初はそうね……バナナはおやつに入るか入らないかでいきましょうか‼」

「なんですかその議題……」

『おやつでいいと思うわ!』

「あ、乗るんですね」

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