水原家にて 23
「あなた、もう少し踏み込んでもいいと思うわよ」
なにを簡単に、それができれば苦労しない。それに――。
「そんなの……あたしじゃ無い……」
辛うじて出せた言葉はそんなもの。
「ねえ
「……なに言ってんの?」
なにを知った気になっている。そんな気持ちで涼香を睨みつける。
ちなみに、涼香の母はさり気なくリビングから出ていっていた。
「だってあなたのその性格、結構無理があるわよ。当たりが強くて、素っ気なく人の扱いが雑い。そんな人間でいるつもりかもしれないけれど」
「なっ……に……言ってんのよ……‼」
爆発するのではないかという程顔を真っ赤にした夏美。
そう言われても、無視していつも通り鼻で笑って強く返してもよかったはずなのだが、涼香相手にそれはもう、色々面倒だった。
「だって
「いいではないのいいではないの! もっと素直になりなさい!」
「……うっざ」
面倒なのだが、うざいという気持ちは変わらない。言いかけた言葉を呑みこんだ彩であった。
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