天ぷら屋にて
皿に盛られた天ぷらをひたすら無言で食べている。
別に
サクサクと、揚げたての天ぷらが音を立てる。遠目から見れば、料理に集中している風にも見えないこともない。
「……そういえば、初めて
「そだね、あたし、先輩としか食べたこと無いし」
正確には
「じゃあさ、たまにでもいいから、私ともお昼ご飯食べようよ!」
「却下。そっちも
「それは……私もそうできたらいいなと思ってるんだけど……」
なぜか口を尖らせる夏美に、涼音は面倒そうな目を向ける。
毎日ではないが、
「どっか教室借りるとかできないの? 綾瀬先輩って成績トップとかでしょ? だったら教室借りるとか余裕だと思うんだけど」
見た目はどうあれ、テストの点数もいいし、授業だって真面目に受けているのだろう。教師陣からの信頼もあるはずだ。
「あー! 確かに‼ 今度先輩に聞いてみる!」
涼音の言葉に顔を輝かせた夏美が笑う。
これで良し。平和に遠ざけることができる。
「やっぱり檜山さんって優しいんだね」
「うるさい。さっさと食べれば?」
「えぇ……。急に冷たい……」
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