鍋料理店にて 5
「そういえばさ、もうすぐ
「そうなんです」
若菜への感謝を込めて涼音は大きく頷く。
今回ここへ来たのは、涼香の誕生日のことで相談したいことがあったからなのだ。
「今月の二十日だったよね?」
「ごのまえ、だんじょうびぶれぜんどがいにいっだわね」
「菜々美大丈夫?」
「大丈夫だよ。ほら、こうやって徐々に痛みになれていけば、いつかは食べられるようになるから」
なぜかここねが答えた。
答えるタイミングを失った菜々美が恐ろしいものを見たような表情でここねを見る。
「あ、そうなの……」
「うん! 続けて」
ここねに言われ、涼音は菜々美にエールを送りながら話す。
「先輩の誕生日なんですけど、学校でお祝いしたいなあと、受験生に言うことじゃないと思うんですけどね。どうですか……?」
他の生徒もいるだろうし、受験に向けて勉強しなければいけない時期に、学校を使って涼香の誕生日をお祝いする。提案した涼音自身も、この案が通ると思っていない。
「わたしはいいと思うなあ」
「私も、受験生だけど一日ぐらいそういう日作ってもいいと思うんだよね」
「本当ですか⁉」
あっさり頷かれたことに、涼音は驚きを隠せない様子だった。
「うん! 菜々美ちゃんもいいよね?」
涼音の言葉に、菜々美は激しく頷く。
あまりの辛さに話せなくなったようだ。
「私らはいいとしても、他の子達がどう答えるかは知らないけどね」
「ですよね」
「でも安心して。学校は使えるから、涼香の名前出せば絶対使える」
力強く若菜が言う。
「とりあえず、みんなに聞いてみるね」
そういってスマホを持って軽く振るここね。
「ありがとうございます」
深く頭を下げる涼音であった。
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