スーパーマーケットにて 3

 自動扉が開き切る前に身体をねじ込もうとする涼香りょうか涼音すずね


 二人同時に同じことをしたため、当然中に入れるのは扉が開き切った時だ。


「生き返るぅ……」


 全身を冷やす空気に、安堵の息を吐いた涼音。しかし涼香は一息つかず、涼音を引っ張って店内に入っていく。


「ちょっとせんぱーい」


 どこへ連れて行かれるのかは理解はしているが、止まらずに引っ張られると驚いてしまう。


 涼香が涼音を連れて来たのは、冷蔵庫が冷たい風を吐く、生鮮食品売り場だった。


「ここなら更に涼しいわ!」


 手を広げて冷気を全身で浴びる涼香。


「……汗が一気に引きますね」


 更に生き返った涼音が目を細める。


 タオルで汗を拭い、もう汗が止まった様子の涼香は、涼音の汗も拭いてあげるのだった。

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