ラーメン店にて

 そんなこんなで四人がやって来たのはラーメン店。


「あまり来ないわね。ラーメン屋って」

「外食自体あまりしませんもんね」


 時刻は夕食時、すんなり席に着くことはできず、四人は紙に名前を書いて待っていた。


「私達はそこそこ来てるわよ」

「このお店は初めてだけどねー」

「そっそそそうね‼」


 体重を乗せてくるここねを慌てて支える菜々美ななみ


 涼香りょうか涼音すずねは気にした様子も無く、メニューの確認を始める。


 その手があったかと、菜々美もメニュー表を取って、ここねと仲良くメニューを選んでいる風を装う。


「あら、魚介だしではないの。これにするわ」

「じゃああたしこれにします」

「足りなかったら私のを分けてあげるわね」

「いや替え玉するんで」


 そんな緩い会話をしている隣で、ここねとメニューを見ている菜々美であったが、全くメニューが頭に入ってこない。


「菜々美ちゃんはなににする?」

「ええっとぉ……」


 菜々美がメニューどころではないことを理解しているここねが助け舟を出す。


「これとこれで迷うなあ……」


 二種類のラーメンを指差して菜々美の様子を窺う。


 菜々美はいつも醬油ラーメンを食べるのだ。だからここねは自分の食べる担々麵と醬油ラーメンで迷っているふりをする。


「あ……じゃあそれで……半分こしましょう」

「うん!」


 注文を決めたタイミングで席が空いたらしく、四人は案内された席へと向かうのだった。

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