水族館にて 16
夏の昼は長い、それでも夕方に近づくと、なんとも寂しい気持ちになってしまう。
そんな時間、ようやく帰ってきた
「遅かったわね」
「無事だったんですね」
出迎えられて、二人を待たせていたことに気づいたここね。
「あっ、ごめんね‼ 連絡した方が良かったよね」
「あっあああ……」
そして何故か爆発寸前の菜々美。
「よく耐えているわね」
感心した涼香は、クールダウンのために菜々美をここねから離れさそうとする。
「なんでそんなことするの? 涼香ちゃんでもわたしの菜々美ちゃんを取ろうとしたらダメだよ」
しかし奈々美を離そうとしないここね。光が全く反射していない目だった。
そんなここねの目を見つめながら、涼香は答える。
「まともに会話ができないからよ」
するとここねはさっきまでの様子が嘘だったかのように朗らかに笑う。
「そうだよね。ごめんね」
素直に菜々美を離したここね。涼香はそのまま、灼熱の外に奈々美を連れて行く。
「あっあああ……あああ、あああああああ――」
少し離れた場所から聞こえてきた菜々美の声。
「菜々美ちゃーん!」
爆発した菜々美を置いて帰ってきた涼香が額の汗を拭う。
「よく我慢したわね……菜々美」
「学校以外でも爆発するんですね」
「えへへ」
照れくさそうに笑うここね。
しばらく経つと、汗をかいた菜々美が戻ってきてここねを一瞥、耳を赤くしてそっぽを向く。
「とりあえず、お土産でも買いに行きましょうか」
もう少し落ち着く時間が必要だろうと判断した涼香であった。
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