水族館にて 14

 次の展示は、今までの薄暗い空間とは一変。明るい部屋、大きな窓から海が望め、太陽の光を絶えず反射させている。


 そんなここは『フォークランド諸島』だ。


 ミナミイワトビペンギンが目の前に、触れてはいけないが、手を伸ばせば触ることができる距離にいる。


「ペンギンね」

「ですね」

「行きましょうか」

「ですよね」


 案の定、興味の無い涼香りょうかは次の展示へと向かう。


 この場所には、他にも浅瀬のプールのような水槽もあるのだが、涼香はそれをもスルーしようとして――。


「あら? これは……」


 立ち止まった涼香が覗き込むのは、水槽の縁に置かれた小さな水槽。


「なんですか? サメの卵……?」


 サメの卵は小さな水槽の壁に張り付いていた。


「……美味しいのかしら」

「フカヒレが凝縮された感じですかね?」

「なるほど……」

「すみません適当です」

「フカヒレを食べてみたいわ」

「大人になったらですね」


 いつも通りの適当な会話、しかし今は少し涼香の覇気が無い。恐らくテンションが上がりすぎて疲れたのだろう。


 次の展示があると思いきや、エスカレーターで下りると、グッズやお土産などが売っていた。


 さっきの展示で最後だったようだ。


 少し安心した涼香と涼音すずね。菜々美とここねが来るまでまだ時間があるだろうから、ゆっくり休むことにするのだった。

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