ベッドの上にて 3

 夏の暑さも息を潜める時間。それでも暑いから冷房はつけている。


「もう寝てしまうの?」


 いそいそと布団に潜り込んでしまう涼音すずね涼香りょうかが言う。


「起きててもすること無いですから」

「それはそうね」


 読んでいた本に栞を挟んだ涼香も布団に潜り込んでくる。


「無理して合わせなくてもいいんですよ?」

「無理していないわよ、涼音が寝るのなら私も寝たいのよ」

「なんですか、それ」


 涼音が、入ってきた涼香を壁側に行かすため転がる。


 苦悶の声を出す涼香の上を越え、布団をかけ直す。


「初めから手前で寝ればよかったのではないの?」


 涼音と一緒に布団を整えながら涼香が口を尖らせる。


「なんとなくです」


 涼香に背を向ける涼音。


「あまりそっちに寄ると落ちるわよ」


 涼音の肩を引っ張り一回転、目の前にやってきた涼音の顔を見て涼香は微笑む。


「これで落ちないわ」

「念には念を入れましょう」


 そう言った涼音は更に回転。涼香を壁に追い込む。


 すると、二人で寝るとほとんど余裕が無くなるベッドに余裕ができた。


「そうね」


 涼香も涼音を落とさないようにしっかりと抱きしめる。


「……たまにはいいですね。こうしているのも」


 涼香の肩に顔を埋めた涼音が囁くのだった。

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