夏休みにて 21

「そういえば――」


 夏休みの昼下がり、涼音すずねはテレビを消して口を開いた。


「どうして消すの……⁉」


 テレビを見ていた涼香りょうかが恐ろしいものを見たような表情で言う。


 しかし涼音はそんなこと気にせず、スマホの画面を涼香に見せる。


「水族館行く日、決まりましたよ」


 画面には菜々美ななみとのメッセージのやり取りが表示されていた。


「明日? 急ではないの?」

「だって明後日とかだと先輩暴走するじゃないですか」

「確かに……直前の方が嬉しいわ」


 明日は九時頃に菜々美が車で迎えに来る予定だ。


 涼香はもう楽しみになってきたらしくソワソワしている。


「時間を早く進めるにはどうすればいいのか知っているかしら?」

「楽し――」

「寝るのよ!」

「えぇ……」


 自分の部屋へ急ぐ涼香であった。

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