夏休みにて 19

 夏休みのこと。


「ふひのなははふへはいは」

「はい?」


 氷を口に入れた涼香りょうかがなにを喋っているのか分からない涼音すずね


 しかし涼香はどうして分からないの? とでも言いたげな表情で涼音を見ている。


「飲み込んでから喋ってくださいよ」


 涼音に言われて涼香はガリゴリと氷を噛み砕いで飲み込む。


「どうして分かって――うぅっ……‼」


 こめかみを押えて蹲る涼香。


「そんな急いで食べるからですよ」

「飲み込んでから……話せと言ったのは涼音ではないの……」

「だからって急いで食べなくてもいいじゃないですか」

「早く涼音と……話したかったのよ……」


 しばらく頭キーンに苦しめられる涼香であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る