夏休みにて 18

 涼香不在の涼香りょうかの部屋で涼音すずねが寛いでいると、いきなりドアが開いた。


「涼音、お風呂に来なさい!」

「えー、まだ昼ですよ?」


 こんな時間から風呂に入れと言うのか、涼音は怪訝な顔で返す。


「違うのよ、とにかく来なさい」


 なにが違うのか分からないが、涼音は言われ通りに浴室へ向かおうと身体を起こす。


 部屋から出ると、真夏のムワッとした暑さが襲いかかる。


「暑っつ……」


 ボヤきながら浴室へ向かうと、浴槽の縁に腰を下ろしていた涼香が振り向く。


「足湯ならぬ、足水よ!」


 中学時代の体操服を上下とも着用している涼香の、細くて白い脚が浴槽内に溜まっている水の中へ入っている。


「それ涼しいんですか?」


 冷房の効いている部屋でいた方が涼しいと思う涼音。


「真夏を感じられるわ」

「どういう意味ですか……」


 浴室に足を踏み入れるた涼音は、涼香が落ちないようにさりげなく支えながら隣に腰を下ろす。


「簡易的なプールよ」

「後片付け楽ですね」


 冷たい水が脚を冷やすが、身体全体が冷える訳では無い。


「やっぱエアコン効いてる部屋の方がいいですね」

「そんなこと言わない! 夏を感じるのよ!」

「えぇ……」


 その後しばらく涼香と共に真夏を感じる涼音であった。

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