夏休み編 8月

涼香の部屋にて 23

 太陽がうるさい真夏でも、疲れたのだろうその姿を隠す日もある。


「涼しそうね。外へ出ましょうか」

「雨じゃないですか……」


 部屋の窓から外の様子を窺っていた涼香りょうか涼音すずねが返す。


「涼音は嫌なの?」

「当然です。濡れますし絶対暑い」


 それに気温は下がったとはいえ季節は夏。雨と相まって蒸し暑さに拍車がかかるだろう。


 涼香は肩をすくめると、自分のベッドで寝転んでいる涼音に覆い被さる。


「外へ出ましょう」

「勝手に行ってくださーい」


 涼香を引っぺがして立ち上がる涼音。


 入れ替わりで寝転ぶことになった涼香は頬を膨らます。


「そんな顔してもダメです」

「意地悪」

「そんなこと言ってる暇があるなら宿題してください」

「…………………………」


 なにも話せない涼香の目の前に宿題を突き出す涼音。


 なにも話せない涼香は大人しく目を閉じることにするのだった。

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