水原家にて 6

「なんでこうなったんですかね?」


 時刻は夕食時。涼香りょうか涼音すずねはテーブルに向かい合って座っていた。


 目の前には湯気の立つクリームシチューとサラダ、鯛のグリルがある。


「相変わらず仲が良いわよね」

「ですね」


 涼香の母は帰ってきて買い物袋を渡すや否や、今日は檜山ひやま家で夕食を食べる、と言って出ていった。


 ちなみに涼香の父親も檜山家で夕食を食べている。


「どうして仲がいいのかしら?」

「そういえば……なんででしたっけ?」


 涼香と涼音の仲が良いから親同士も仲が良い、という訳ではなく、親同士は元々仲が良かったということは知っている。


「同級生? だったかしら」

「あれ、先輩後輩だったような……」

「「うーん……」」


 二人は同時に唸る。


 そして――。


「このシチュー美味しいわ。涼音の愛情のおかげね」

「先輩の作ったシチューも同じぐらい美味しいですよ」


 二人は考えることを止めるのだった。

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