涼香の部屋にて 22
夏休みのこと。
「先輩は宿題やったんですか?」
宿題をやりながら、
「あ、そういえばいいお茶菓子があるのよ」
普段なら絶対言わないことを言って涼香は部屋から出ていこうとする。
「ここってどこですか?」
しかし涼香の手を掴む涼音。
「私の部屋ね」
「なんで宿題やらないんですか?」
「受験生に宿題なんてある訳無いでしょう?」
「いやあるじゃないですか」
涼音は物置と化してる涼香の勉強机の上に乱雑に置かれているプリントの束を取る。
「これはミスね。そう、配布ミスよ!」
プリントの束をペシペシ叩く。
しかし涼音は真顔で涼香を見続ける。
その圧倒的迫力に、さすがの涼香も目を逸らすことができなかった。
「……やります」
プリントを受け取った涼香。重いため息をついて涼音の向かいに座る。
心からやりたくないのだろう。だから涼音は特典を用意した。
「宿題が終われば、水族館行きましょう」
「この程度一瞬よ‼」
さっきまでのテンションはなんだったのか、やる気に満ち溢れた涼香であったが――。
「答え丸写しはダメです」
涼音が答えの載っているプリントを没収する。
「意地悪!」
ローテーブルに額を打ち付ける涼香であった。
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