夏休みにて 14

涼音すずねに言いたいことがあるの」


 唐突にかけられた言葉に、スマホを見ていた涼音が顔を上げる。


 しかし涼音はなにも言わず、すぐに視線をスマホへと戻す。


「無視しないで。そこは返事するところでしょう?」

「…………」

「ねえ涼音。すーずーねー」


 涼音の肩を持って軽く揺らす涼香りょうか


 しかし涼音はなにも言わず無言を貫く。


 頬を膨らませた涼香は、涼音の顔とスマホの間に頭をねじ込む。


「無視しないで」


 眼前の涼音に向かって言う。


「……邪魔」


 ようやく喋ったと思えば冷たい声。


「反抗期……⁉」


 恐ろしいものを見たような表情を浮かべる涼香であった。

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