第40話 恋する町娘

ユージーンは手にしたいちごを一つ、手にとって

ヘレナに近づく。


「ー うちのイチゴは、甘くて美味しいよ、ほら、どうぞ」


口にいちごを運ばれて、ヘレナは目が点のまま

そのいちごをひと口かじった。


(ー あまい...)


目を細めてほほえむ、”八百屋”のユージーンは

ヘレナのかじった残りのいちごを自分で食べた。

いちごをつかんでいた親指と人差し指をぺろっと舐めた。


(...エロい...)



ヘレナの脳内が一昔前のインターネット回線のような遅さになっている。

(ご存じない方のために物申すと、すごく遅かったのだよ、お嬢様方。

 時々、サイトの画像が重いと止まるんだよ。

 回線の音はピー、ガガガガ。である。あ、止まった。)



「ね?ー お茶しない?」


ヘレナはハッと我に返った。

「だ、だめよ、私、お使いの途中なの。」


ヘレナは人混みを歩き出す。

ユージーンはその後ろから小走りで横に付いて、ヘレナを覗き込む。

「君、花屋の子だろ?

 ーね、名前は?」


ヘレナは横目でユージーンを見る。

(この設定に乗ってくるってわけね...。)


「ソフィー」

わざと冷たく言い放ってみた。


「ソフィー。ー うん、いい名前だね、ソフィー。」

本当の名前じゃないのに、呼ばれるとドキドキする。



「俺の名前はジャックだよ、ソフィー。ー覚えて。」



ヘレナの前に回り込んで、ユージーンこと、ジャックは言う。

いたずらな薄い青の瞳がヘレナの瞳を覗き込む。

ヘレナは思わず、口がきけなくなって頷いた。


「あ〜ぁ、野菜の配達がなけりゃ、今すぐ

 ソフィーを公園のデートに誘うのに。」


その時マリエルが心配になったのか迎えにきていた。

「ソフィー!遅いから...あ。」

高貴な八百屋に気づいたようだった。


「じゃ、さっさと配達終わらせて迎えに来るよ!ソフィー。

 あ、これ、いちご。入れとくよ。ー 毎度!」



カゴにいちごを入れ、笑顔で手を振る。

ヘレナはポカンとしたままだ。

隣でマリエルもポカンとしていた。


「ー あんな高貴な八百屋、いる?」

ヘレナはつぶやいた。

マリエルもつぶやいた。

「あれじゃ、野菜も光りますね...」


ー だって、王じゃん。


マリエルは我に返って、ヘレナを見て言う。

「でも、...町娘も結構...」


「ー え?なんて?」

ヘレナは聞き返した。


「う、ううん。行こっか。」

マリエルはヘレナからカゴを受け取って店へ戻った。



ネルが店にきていた。


「あれ?お昼まで出かけるんじゃなかったの?」

マリエルがカゴからりんごを取り出しながら聞いた。

アンネリエッタはいちごをつまみ食いしている。


「ー、王を見たのよ」


ヘレナはドキッとした。

だって、さっき会ったからだ。

マリエルは気にも留めない様子で、オレンジをテーブルに置いた。


「知ってるわ、高貴な八百屋でしょ?」

したり顔で、マリエルは残りのオレンジを取り出した。



「違う。」


「え?」



「アルデラハンの王よ」

ネルは言いながらヘレナを見た。


「お忍びで来てる。」

ネルの顔が、真顔になっている。マリエルも真顔だ。


「なんで?」


尋ねるアンネリエッタは猫のような目でネルを見た。


「ー 知らん」

と、言いながらヘレナを凝視している。

マリエルもヘレナを見た。

アンネリエッタが口を開いた。


「ソフィー目当てか!!」


ヘレナはガマ口のお財布を持ったまま

「え、えへ」

と、薄ら笑いをした。


(私がなんでか聞きたいわい!)














「さて、どうしたもんでしょね」

マリエルはりんごをかじって、肘をつく。

花屋の花はもうアレンが配達を始めていて

店番をしているようで、すでに閉店ガラガラ休憩だ。



ネルはテーブルに肘をついたまま顎を乗せた。

「ややこしいわね...護衛が2名付いてる。」


「でもさ〜、バレなきゃいいわけじゃん。

 ー この辺で切り上げて帰ってもいーんじゃない?」


「...見張られてんの。すでに。目的がわからない」

ネルはため息をついた。

マリエルはネルを見て直感的に気付いた。

(ワンコだな!?)

そんなマリエルは若干、笑っていたらしくネルに頬をつねられる。


「い゛だだだっ、ごめんねって」

つねられた頬をさすりながら、マリエルはヘレナを見る。


ヘレナに動揺は見られない。



「ヘレナ様、どうしたいですか」



ネルは慌てたようにマリエルの腕を掴んだが

ヘレナはいちごを摘んで一口で食べた。


「ん〜、私は町娘だし

 あちらもお忍び。ー 何かあったとしても無礼講。

 

 それじゃダメかしら」



つまり、バッチこい、ということだ。

元女帝はそんなことに動じない。

王と言ったって、所詮、人間の男だ。

町娘には敵わない。ーと、思っている節がある。



ネルは目頭を抑えて少し唸ってから、ため息をついた。



「わかりました...では、私と一緒に来てください。

 ー引き付けることはできます。

 もし、無理だったら逃げてください。」

頷いたマリエルは、ネルの頭を撫でながら言う。


「じゃぁ、こうしよう。

 ヘレナ様とネルはとりあえず、出店回っておいでよ。

 アンネリエッタは、アレンとアナスタシアのとこへ行って。


 私は店閉めたら八百屋行って、いちご買い足して追いかけてく」

満面の笑みだ。


ヘレナも頷く。


ネルと店を後にして、お目当ての店へ歩いてく。

店を出てから、2人の周りには人だかりができて

その団体で行動しているかのようだ。


ネルは正直これがあって助かった。

周りは顔馴染みだし

この人混みならできるだけヘレナのそばにくっ付いていても

言い訳が立つ。


「ソフィー、手を繋がない?」


「うん!私、女の子と手つなぐの初めて!!」

ネルはヘレナのそんな顔を見ただけで、ときめいた。

(な、は、初めて...だと?

 ーヘレナ様、なんて可愛いの。)


ネルに同性を思う気持ちはないが、ヘレナの瞬間的な破壊力に

ネルの繋いだ右手は無意識に強くなる。ー守りたい、その笑顔。


その間も、色々な男に話しかけられる。

「ソフィーちゃんて言うんだろ、クレープ食べに行こうよ」

「お、俺さっき花買ったんだ、覚えてる?」

「ネル、今夜カードしようぜ」


そのどれにも花屋の娘2人はニコニコするだけ。

でも、ヘレナに限って言えば

町娘気分がアゲアゲな訳で、この人混みすらも

町娘だからこんなのヘッチャラ気分なのだ。


「ネルさん、今日も綺麗だね」


ネルの意識が不意な声を捉える。

左後ろから聞こえた。

(っチ、死角だ、 見るなー)

ネルはわざとヘレナを覗きこむような姿勢を取った。


その時人混みの中、ヘレナたちの前方が瞬間的に開いた。

雑踏は市場の音でさらに声すらかき消されそうだ。

隙間を縫うように男が1人、ネルとヘレナの間を割った。


ネルはその男に傍に追いやられるような力を受ける。

(こいつー!!)

誰かに左腕を掴まれて、ネルは人混みに飲まれる。

(み、右手だけは離しちゃダメだ)

「ネル!大丈夫よ!!私は大丈夫だから」

ヘレナは声を上げる。


あっけらかんとした声とピースサインが見えた。


「カルメンのお店で集合ね!!」


手を振っている。

ヘレナの姿が見えなくなった。

「引きつけ役、お疲れ様」

ネルの腕を掴んだ主はネルの耳元で囁いた。


ネルは見たくもない。

人混みにもみくちゃにされてただでさえ腹立たしいのに

ヘレナの手を離してしまって、またそれが腹が立つ。

あの割ってきた男は、アルデラハンの男だろう。

そしてー、左後ろから自分を呼んだ男。

ここまで追いかけてくる執念に、呆れもしてる。


「こんな仕事、やめてほしいよ、僕は。」


いつのまにか市場の路地裏に引き込まれていた。

薄暗い市場の裏は、人気もない。

「なんなの」

ネルは撫然と言う。

「デートしにきた」

笑顔のレイモンドは、ネルを壁にドーンだ。


「ねぇ、なんであの日、すぐ帰ったの?」


ネルは目線を合わせずに、次の策を練る。ーネルだけにな。


ー...後悔はしていない。


返事のないネルに

レイモンドは他愛もなく笑い、少しため息をついた後

ネルの足の間に自分の足を割り込ませ、両腕の動きを封じるように

背中に後手を回す。


「わかってないなぁ、ネルさん。ー僕から逃げられると思ってるんだね、

 そうだ、こうしようか。部屋から出れないようにしよう。

 ー まずは、このまま連れ去っちゃおう。」


「レイモンド、いい加減にして。 

 ー あの日はあなたの言うことを聞いたわ。

 もう、用事は済んだでしょ、帰りなさい。」

(私をヘレナ様からできるだけ離すこと、それが彼の仕事のはず)


「”用事”はネルさんだよ。ー”王”は


押し込まれる足と後手に圧力を感じる。

めちゃくちゃいい笑顔のワンコが、ネルに囁いた。

「ー ”わからせ”、って知ってる?」












ヘレナは、もみくちゃにされながらも

町娘っぽく逞しく人混みの中をすり抜けるようにして

なんとか市場の広場まで出てきた。


(ネルは無事かしら?ー あぁでも、1人って気ままね。

 確かこの広場の近くに美味しいジェラートがあるって...)


ヘレナはキョロキョロしている。

ガマ口のお財布はちゃっかりポケットだ。



「お嬢さん」

声をかけられる。

これも、ここまで来るに一生分聞いた気がする。

(こう言うのは無視しても大丈夫そう...)

ヘレナはジェラートが食べたいのだ。

こんな気ままな自由行動を邪魔されたくない。


手首を掴まれた。

(ーあ、この掴み方)

チラッと見上げると、大正解。

カインだ。


鍛冶屋っぽい、カインだ。

いや、高貴な鍛冶屋のカインだ。


(なんでここに出てくる人はみんな

 隠しきれない品位を持って町人になんてなるんだ...)

カインはキラキラしながら、ヘレナを見ている。

「名前を聞いてもいいかい?」


「ソフィーよ、あなたは?」

ヘレナのぞんざいな態度も町娘仕様だ。


「ユリウス」

(カエサル、お前もか...)

ヘレナは1人ツッコミを楽しんだ。


「どこへ行くの?」

カインっぽい、高貴な鍛冶屋のユリウスは

ヘレナっぽい、高貴な花屋のソフィーにかがみ込んで聞いてきた。


(へぇ、あの王の割には町男仕様ね。)

ヘレナは覗き込んできたカインっぽい...もう面倒なのでユリウスに統一する。

ユリウスは、微笑んでいる。


「ジェラートが食べたいの。」


カインの微笑みに一瞬、ユージーンが浮かんできて心がズキっとした。


「なら、一緒に食べよう」


手首を掴んだまま連れて行こうとするので

ヘレナはとうとう口に出す。


「ねぇ、手首離して」


ユリウスは”しまった”と顔をした。

それも顔を赤くして。



「す、すまん」

「いいけど。ーぷっ。」


ヘレナは吹き出した。

「何かおかしかった?」


「だって、ユリウス、会ったのに

 手首掴んだままジェラート屋さんに行こうとしたでしょ。

 ーふふ、町の男性はそんなことしないわ」



カインはヘレナを見ている。

ヘレナも笑った後、カインを見上げた。

2人の間に雑踏だけが流れた。


「 ー 」


何か言おうとしたカインを知らぬふりをして

ヘレナはジェラート屋に向けて歩き出す。



「ジェラート、あなたも食べるんでしょ?

 ー奢ってくれるんでしょうね?」


「ー あぁ、もちろん」





市場の広場の少し先には噴水広場がある。

2人は横に並んでジェラートを食べている。

ヘレナの選んだジェラートはいちごのソルベだ。

市場の町娘の人気ナンバーワンだ。

甘酸っぱく、爽やかで冷たくて美味しい。


カインはピスタチオのジェラートを食べている。


ヘレナはそんなカインの姿が不思議に思えた。

マリエルから、王の食生活の話を聞いていたからだ。


「ねぇ、ユリウス。

 私の知っている”王”はね、昼ごはんには

 鶏肉か豚肉だけ食べて、

 あとはドライフルーツとナッツだけなんですって」


カインはヘレナをじっと見たが

そのあと、頷いて答えた。


「あぁ、そうらしいね。ー 彼の生活はそんなもんだ。」


「私の知ってる”女帝”ってのも、昔はそうだったみたい。

 ーガッチガチの鉄壁でね、誰の助けも

  誰かの手伝いも拒否してたのよ。ー 手を差し伸べてくれてたのに。」


「 ー ...」


「だからね、私会ったら教えてあげようって思ってたの。

 ー 立場なんて、”しゃらくせえ”って。


 素直に助けてもらうことは恥ずかしいことじゃないわ。」


「ヘレナ、俺は ー」


「自由で、いいのよ。ー民もそれを望んでる。」


「あなたが我が国へ来てくれたなら、俺はあなたを大事にする」



ヘレナはジェラートのコーンをポリポリと口いっぱいに詰め込んで

ごっくんと飲み込んだ。立ち上がりつつエプロンに落ちたカスを払いながら

ヘレナはカインに微笑んだ。



「ごめんね、もう行かなきゃ。..ふ、そうね。


 ー 。 国に、”王”は2人もいらないの。

 私はきっと、あなたに負けたくなくって威張り散らすわ。」



「ではユージーンは?」


「ー、私が唯一、助けてほしいって時に出てきたスーパーマンなの。」


満面に微笑んだヘレナを

カインは小首を傾げたまま、微笑み返す。




「俺じゃ、無理かな」


「あら、ユリウスなら大歓迎。

 ジェラートは奢ってくれるし、手首は離してくれるし。

 ーふふ。でも。ー

 

 ー あなたがあの国の王で、よかった。」


ヘレナはカインを見つめた。

優しい目。

あぁ、きっとこの人は良い王になるだろう。

前王のように、民を思う。








 「 ごめんなさい、私の好きな人はユージーンなの 」







ヘレナはカインに謝るようにお辞儀した。


どれほどお辞儀していたことだろう。

ふと、影がヘレナを覆った。


「ー そのユージーンって奴、妬けるね」


頭を上げると、高貴な八百屋のジャックが立っていた。

顔を赤くして頭を掻いている。



ヘレナはギョッとしたが、自分の発言を聞かれていたことに

羞恥で目の前が真っ白になりそうだ。


カインは立ち上がって、ヘレナの前に立つ。

「ありがとう、君は俺の支えだったよ。いつだって。

 ーもっと早く迎えに行けたら、話は違ったかな?」


ユージーンを見てカインはしれっと笑う。


「...結果は一緒だろ。」

ユージーンはつまらなそうな顔をした。


ヘレナは頬を赤くしたままも、カインに目一杯笑顔になる。

「そうね、あなたならきっとイチコロよ!」


ギョッとしたのはユージーンだ。


「ふ、それで十分だよ、ヘレナ、いや、ソフィーか。

 ー また一緒にジェラート食べてくれる?」


「えぇ、もちろんよ、ユリウス。

 次はお花も買って〜ぇん。」

(しまった、カインにこれをする必要はなかった!)


「 ー 」


苦笑いのカインはヘレナに握手を求めた。

それに応えるように、ヘレナは手を出した瞬間。


何も言わずにヘレナを抱きしめて、カインは小声で言った。

「好きだよ、今だって好きだ。

 ー ごめん、しばらくは拗らせたままでいさせて」



ベリっと、剥がされた。


ユージーン、額、額。血管、出てるよ。





カインはそのまま、人混みに紛れるみたいにしていなくなった。













「さっそく浮気か」

何やら高貴な八百屋が難癖つけてきた。


「浮気?誰がよ、目の前で見てたじゃない。ーあ、浮気といえば

 ユージー、ん゛っ、ジャックだって!ー」


マリエルがにこやかに微笑んだまま、立っていた。

「ソフィー、本当に町娘ね。

 公衆の面前で、痴話喧嘩って、それっぽい。ふふふ」



気がつけばみんなに見守られていた。


ー元女帝、穴を掘ってマントルまで埋めてくれ。







2人は気まずいまま、アナスタシアのいる酒場まできた。

酒場は昼間だと言うのにすでに出来上がった人らがいて

それら大半は、エルンハストの騎士や

市場の花屋で見かけた人たちだった。

アナスタシアは奥で仕込みをしていると聞いた。



アンネリエッタとネルの姿はまだなかった。



マリエルに言われるがまま、ヘレナとユージーンは

酒場の上階にある部屋へ通された。


キッチンと、テーブルと椅子、横になれるソファがあるそれだけの部屋だ。


2人は黙り込んだままテーブルの椅子に腰掛けた。




沈黙の時間が、ヘレナには息苦しかった。

(だって、仕方ないじゃない。ーあんなの。)



「ヘレナ。 ー 俺は怒ってるよ」


(は?怒ってるって何よ、自分のこと棚に上げて)

ヘレナは答えないで、キッチンを見た。


「もっと早くに、言っておけばよかったんだ。

 ー あんなのに先越されるとか。」


「 ? 」

(なんの話?)


ユージーンは椅子から腰を上げ、ヘレナの前に片膝をついた。

見上げるその瞳が、ヘレナの心にストンと落ちてきた。





「ヘレナ、俺は ー、... あなたを愛しています」


「   !!!   」




「俺を選んでくれて、ありがとう」




ユージーンは照れ臭そうに微笑んだ。
















み、みなさん、お聞きしまして?

わ、私、あ愛の告白を、受けましたわ...


え、え


喧嘩してたんじゃ、なかったの、かしら。




ユージーンは手を差し出している。

何よ、もう。

喧嘩っぽいの、忘れちゃうじゃない。


ずるいわ。


ずるい、でも ー 好き。 悔しい、 好き。






ユージーンの手の上に自分の手を乗せた。

当然、にぎにぎされるのはすでに様式美だ。


「ユージーン、 ー 私も、


 あなたが 好きよ。」



ポロッと涙が一つ。

こんな幸せな町娘、いるのかしら。


ユージーンは溶けそうなぐらいのほほえみをこぼして

私の頬の涙に触れる。



あら、この流れって... あ、これは

ユージーンが触れる頬の手が熱い。

片膝をついたまま、ユージーンは顔を近付けてきた。


ゴトゴトバタっという何かが倒れる音がする。



思わずドアを見れば

半分以上開いたドアの隙間、とはいえない開き具合から

アンネリエッタと、アナスタシアとマリエルが

半身以上、乗り出して見てた。

アンネリエッタは可哀想なことに下敷きだ。


でもアナスタシアのお胸が頭に乗っているから

ギリ天国逝きだ。


ヘレナの意識も恥ずかしさで天国へ行きそうだ。










ー 元女帝を誰か、宇宙に飛ばして。










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