第37話 ノンネッセと呼ばれた国


アルデラハンの王は待つ。



ヘレナの返事はもう、分かりきっている。


そして、彼女が次に起こそうとしている行動すら

手のひらで自在に感じ取れる。

だが

王が待っているのはそこではない。



(さて、どう出てくる)





王カインは静かにそのときを、待っている。



















一頭の馬の背に

マントを翻しながら

王城への道を風と共に走り抜けるその姿を

見守る人が、いた。




アレクサンダー・ヴォルフ・フィオドア。





『軍師、ここから合図を送るために

 ー この地点にいてほしいのです。』


ヘレナはそう言うと、地図上を指差し軍師にクリスタルを手渡す。

「...何かね、これは」

軍師は地図上に示された場所を確認した後

手のひらのクリスタルを見る。


鬱陶しい、そんな顔だ。



ヘレナは思わず笑ってしまったのだが

すぐに居住まいを正して言った。


「ー、私がここを横切る際

 反対側の待機している兵を呼ぶ必要があります。


 制圧が完了していれば、モニークの算出で

 必要な人数が集まっているはずです。


 軍師にはここからの合図と、その後サスケとの合流を果たし

 サスケから将軍へと、北東、二軸で城へ接近。」


「あぁ、それはーわかっておる。


 だが、これはー...」



手のひらのクリスタルを訝しげに見る軍師に、またヘレナはほほえんだ。



「あら、軍師が一番よくわかっておいでじゃなくて?」

軍師はクリスタルを指に持ち、覗き込む。

虹色に同心円状の輪が輝く、ひんやりとした感触。


「軍師に待機頂く場所は、この時刻ちょうど、陽が差します。」


「...王妃殿はわしに、サンキャッチャーになれ、と仰るのだな」


くすくすと笑うヘレナに呆れたが、軍師はそのクリスタルを胸のポケットに仕舞う。









ー 軍師は小型の望遠鏡でその平原を駆け抜ける人を見た。

中腰で馬の背に平行に乗る、その姿は美しかった。

風が祝福するように、その人を通り抜けていく。


(ー、まったく、王妃殿自ら戦場を駆け抜けるとは。)


望遠鏡のレンズを絞り、顔を確認した。





違う。


野を駆け抜けているのは、王妃じゃない。

風に捲り上げられ、フードがその人の背中へと落ちた。




あれは ー






















我が、息子    ー ルイだ。








その馬上、剣を抜き、高々と空へと掲げる。



儘ならぬまま、急な合図に、軍師は胸からクリスタルを取り出し

陽にかざす。




キラキラと、その反射をする光が

馬上の剣に当たる。

剣に当たった光は、鬨の声をあげる。




その両脇から馬兵、歩兵が一斉にルイめがけて集結しながら

突進を始める。

先頭には副将軍、旗持ちをして馬を操っていた。

馬兵、50

歩兵、100

軍師はざっと見積もる。


モニークの算出は的確と言えるだろう。


今のところ、情報拠点からも、出兵の報せもない。

すでに城内の武力は封じてある。

フィリップとサスケは王カインが執務室へ入ったのを機に

全て制圧していた。


(ー、それでもまだ6割強、だ。)



アルデラハンがこの程度で制圧されるわけがない。

それはわかっていた。

だから、時間の制限があったのだ。

いざとなれば、1時間もせずに出兵とその必要武力の集結はできるだろう。


だが。ーそれは、知っていたのだ。

知っていながら、...





我が息子が、野を馬駆ける姿に







軽薄にも喜び、その姿に、胸が打ち震えた。





転生した後の姿を直接見たわけでは、ない。

それでも確信めいたその姿は

どんなに望んだかわからない。





サリアーナ、見ているか?






君の、紡いだ魂とその命は今



舞い戻り、



この大空の下を、駆けているのだ。









 ー 私は、君との約束を守れただろうか


ー 系譜を、魂の系譜を、守れた。

















軍師は目頭を抑え、しばし立ち尽くした。














軍師は前を向く。ー 王城前ではルイを先頭に兵が集まった。

「さて、我々も行こうか」

軍師は静かに歩き出した。

いつのまにかいるサスケは何も言わず、ついて行った。






王城の前にはアルデラハンの兵が30。

急遽、集まってきた人数だろう。



馬上、ルイは隣の副将軍に言う。

「アンパッサンだ。」

「了解」


副将軍は旗を大きく2回ほど下から振り上げた。



アンパッサンとは歩兵同士がぶつかると

双方防御してしまい、攻撃に時間がかかる、

手薄な側面に分かれ、攻撃を開始することだ。



一番前にいた歩兵の盾にルイの剣が正面を突いた。

その衝撃に歩兵は3人ほど後ろへ倒れ込んだ。



ニヤリ、と副将軍は口元をゆるめた。


「後は任せろ。ー あぁ、そうだ


 迷ったら、殴っとけ、大体どうにかなる」


笑ってルイを押し出した。







舞い上がる砂埃の中を、駆け抜ける。

ルイは1人、王城の門をくぐり入っていった。



城内は静かだった。


誰も人がいないようだった。

(もぬけの殻、とは言うがこのことか)


王城を仕切る側近の姿も、衛兵も、従者たちも

誰もいない。

舞踏会を訪れた時とは真逆に、水を打ったように静かだ。



ルイは馬を置き、また目深にフードを被り直した。

(ここから、王の執務室まで

 誰にも見つからないことが第一だ。)




剣は抜いたままだ。

薄暗い階段をできるだけ足音を立てぬよう駆け上がる。

この道は以前の舞踏会で、確認したところだ。

実際の道筋は機密部隊の記した城内の地図で確認しただけだが

正確だった。


この角を曲がって、さらに奥の階段をー



「お客さまかな」

側近のヘンリーだった。

正装し、剣の切っ先を下に向けたまま持っていた。


ルイは立ち止まってその姿を確認した。剣を持つ手に力がこもった。


ー ヘンリーは剣を自分の顔の真正面に持ってきた。

剣礼だ。

彼はこの国の筆頭上級騎士である。

静かな居住まいで、呼吸すら届かない。



ルイもまた、剣を構えた。


空を切る大きな風が互いの間合いに切り込まれる。

その時間、刹那。

振り上げられたヘンリーの剣から

太刀筋は消え、そのまま斜めに斬りかかられるが

ルイはこれを柄で受け流し、その力を以て振り返す。


「へぇ..器用なことができるんだな」


ルイは口を聞かずヘンリーを見ている。

剣を両手持ちに切り替えた。思った以上に、一振りに重さがある。



ヘンリーはまた、剣を立てる。

次は吸い込むような呼吸が聞こえた。

「ッシュッッ!!!」

息を吐きながら、剣が空を横斜に切り裂く。


ルイの剣はその力を受け切れない。

なんて重い一振りか。

両手に剣を持ちながら押し込まれるその力に手が痺れ

ルイの手から、剣が回転しながら壁に向かって離れた。



「王の元へは一歩たりとも、近づけさせない」


ヘンリーはまた、静かに剣を前に構えた。


「...悪いが、こっちも急ぎなんだ。」

ルイは笑顔になる。


ヘンリーの後ろから黒い影が立ち上った。

その気配に振り返る間も無く

ルイはヘンリーの胸元に潜り込み

左頬に力一杯拳に力を込めて振り抜いた。


ヘンリーに見事にクリーンヒットした。




脳震盪でも起こしたか、ヘンリーはそのまま倒れた。




「副将軍の言う通りだな...。ー サスケ、遅いよ」

(なんとかなった。...)



「これでも相当急いできたんですけど〜」



サスケは言いながらヘンリーの両腕を後ろに縛り上げている。


「まだ、力は弱っちいな」

ルイは先ほどの衝撃を受けた手を握ったり開いたりしている。

殴った衝撃と相まって、まだ手が痺れている。


「ほら、行けよ。後ろは任せておけ」


頷いて、ルイは走り出す。









執務室の前にきた。

ルイは短く深呼吸した。


扉を開くー アルデラハン国、国王は鎮座している。

朝日が、執務室の王の後ろから差していた。






「ー それで 。」

カインの声は低い。



短剣を握りしめ、王の元へ駆ける。

こちらへ向かってくるタイミングで

王は机の上の書類をルイに向かって滑らすように投げつける。


白い白い紙が

執務室の中を舞うように降っている。


立ち上がる王と同時に机の上に乗ったルイの

短剣が王の喉元を捉えた。

しかし、王はその手を掴んでいた。




舞い落ちる紙だけが、パサ、パサ、と音をたてた。

その白い雪のような風景の中

フードが同時に背中へ下りていく。
























「 ー ヘレナ ? 」


王の喉元を差しているのは、王妃ヘレナ。















「チェックメイトよ、王」







ヘレナは挑むような目だ。

今まで見てきた彼女の顔で、一番美しく

一番気高い女性が、自分の喉元に剣を突きつけている。



「 ー 王よ、我々は、戦いを望まない。

 話し合いを、しにきた。」


ヘレナの左手には、公文書が開かれていた。




「ー ほう。」

カインの手はヘレナの手首を掴んだままだ。


このとき、カインは初めて心から湧き起こる嬉しさで込み上げていた。

想い患った女に、自分の命を狙われるなど

これほどまで彼女を意識させることができた、という事実に

カインは目を細めてヘレナを見る。





扉から、誰かが入ってきた。


「その手を離せ、堅物野郎。」


我が国の将軍、ユージーン・エルンハストだ。

ヘレナは今更、気付く。

そして、手首は掴まれたまま。


(あ、あれ...?2人って似てる...)


そりゃそうだ。親戚筋で、遠い遠い兄弟なのだ。

隔世遺伝でもしたのか、2人は似ている。

なぜ、今まで気付かなかったのか。



ユージーンは、部屋の真ん中へきた。



その姿を見たカインは

ヘレナ自身の短剣を振り落とし、ヘレナの腰を抱きかかえた。

後ろからヘレナを抱きかかえるような形になった。



ユージーンの額に何やら青筋が立っている。



「久しぶりだな、ユージーン。

 今は大公で、将軍なのだったな...」




カインはユージーンを見ずに、ヘレナの顔を見る。

ヘレナはもがくが、カインの体はびくともしない。


「 ー 」


ユージーンは黙っている。


「俺は、彼女との約束を守った。

 ー 今度は彼女が約束を守る番だ。」

カインの目はほほえむままに、ヘレナを見つめたままだ。





「ー 今は ”王” だ 」


ユージーンが優しい目をしてヘレナを見た。

ヘレナの頬は染まる。


カインの眉が少し上がる。

「なんだと..」


「世界の同盟国、49ヶ国から過半数で承認を得た。

 

 ー 今日、この時間を以て、俺は”王”だ。」



ユージーンは王となった。





間に合うかは賭けだった。


そのために奔走したアルフレートも

他国と協議を繰り返してくれたフィリップも

アルデラハンにバレないようにしてくれた、たぬきち軍師もみんな


みんな ー ヘレナを助けた。





「アルデラハンの王よ、シュレーシヴィヒのご令嬢を離してくれないか?」


ユージーンは静かに言う。



ヘレナはそっと手を離された。

ユージーンがすぐにヘレナを抱きかかえ、カインから離し

後ろに控えていたルイたちの元へ届ける。




「対等な話し合いを、しようじゃないか」


「”ノンネッセ”国の王、ー 長かったな。ユージーン」



2人は対峙する。

身長も、体格も、顔もほぼそっくりな2人が

見つめあったかと思ったら

殴り合いを始める。



物を殴りつける重い音が部屋に響き渡る。

鈍器と鈍器が殴り合っている。






「え、え、え?

 ーは、話し合い、じゃないの、ね、ねえ」

ヘレナはルイの袖を引っ張る。

「え、わ、わからないです。」

ルイはサスケを見る。

サスケは顔を横に振る。


「だ、誰か、あれ止めて」


ヘレナは言うが、あんなの、誰が止められるんだ。

止めた方が死ぬ確率が高い。




「サスケ!できるでしょ」

「俺、死なないって決めてるんで」

サスケは鼻のてっぺんを掻いている。

ルイ、は、無理だろう。元女性だし。



誰か、ー






「 ーその辺にしておきたまえ 」

軍師が入ってきた。



それでも、2人は黙々と殴り合っている。

軍師はチラと横目でその2人を見て、ため息をついた。


かと思うと、軍師は2人の拳を交差した掌で受け止め ー


「 ! 」





2人の順に右ストレートをお見舞いした。


「淑女の前で礼がなってないな。」








2人を力いっぱい殴った手をグーパーしつつ

軍師は少し着崩れたジャケットを直しながら言った。


「ー 紳士は右ストレートだよ、兄弟(バカども)」





おかしなことに、2人の顔は綺麗なものだ。

何発か顔に当たっていたと思うのだが

お互い、血も出ず大したダメージを受けていない。




(あいつらバケモンだろ)

サスケはゾッとする。








カインの軍師を見るその目が鋭くなった。

「 ー どう、説明するつもりだ 」


「王、あなたも感じていたはずだ。ー 前王の懺悔を。」


軍師は執務室のソファに腰掛けた。


カインもユージーンも立ったままだ。




軍師はカインを見上げて言う。


「 あなたは、この国の行く末を私に聞いた。

 どうすべきか、と。」


カインは軍師を見ている。

軍師は両膝の上で、手を組むようにして祈るような姿になった。



「 ー 限界だったのだよ、この国の。

  アルデラハンは、疲弊してこのままでは国は無くなる。


  前王の願いは ー



  ー 世界の統一ではなかった。 ー 死だよ。」




カインの顔に絶望が降りた。

自分に課されたその命題も、民を思う気持ちも

全て国王である父から与えられたものだ。

命をかけて、民を守れるのは”王”だけだ。





その父が、”死”を望むなど、あり得ない。



「ーそこまで、止まらなかったのだ。

 前王の”死”を以てしか、あの戦争は、止めることができなかった。」






あの日、胸を一突きされ、父である王は死んだ。

遺書らしいものもなく

自分に託されたものもなかった。


ただ、軍師フィオドアだけが、その剣を持ち

一言、言った。

「 ー 忠義は 果たした。これより、戦争は、終わる」



そして、カインはフィオドアに剣を振り下ろしていた。





裏切りだと、思っていた。





ずっと長い間、その憎しみがこの国を戦争から立ち直らせ

自分を戒める力だった。



だが、あの戦争以降

国は豊かさを取り戻し、民の笑顔は増えた。

反比例して、カインは執務に取り憑かれたようになった。

国を立て直したかった。

隣の国の王妃にできて、自分にできないはずがなかった。

その王妃が、まさか自分の想い人だと知った時は

頭に100トンハンマーが落ちたような気分だった。



フィオドアから直接話を聞かなければいけないのに

誰も行方を知らない。


死んだという者もいた。

行方がわかるまで、10年以上かかった。







なのに、真実はこんなにも単純だった。

そして、父は最後まで、”王”だった。








カインの目に、困惑の涙が伝う。

「 ー なぜこんな...」


軍師フィオドアは顔をあげ、優しい目つきになった。


「それこそが、私に託された最後の願いだったのだよ、カイン。

 ー お前から身を隠し、独り立ちできるまで

 真実を述べてはならぬ、と。 ー 」






みんな、黙った。

その誇りある前王の死は、止められなくなった戦争を

止めるための最後の術(すべ)だった。

民を愛する前王の、最後にできる民のための行動だった。

そして、軍師に託した思いこそ

父として教えてあげられる、王の仕事だったのだ。




軍師がフラフラとアルデラハンへ行っても

誰も、カインに告げ口しなかったのは

みんな知っていたのだ。

カインはきっと良い王様になる。

従者も、参謀も、側近も皆、信じていた。


見れば

サスケに支えられていた側近も泣いていた。

サスケは彼の縄を解いていた。




カインが王様になって、この国を照らすとき

真実は明るみになると信じていた。


カインはそれまで

「この国の国民」のアイデンティティーは希薄だと思っていたが

実は国家が縦深防御のように、深く深く固まっていたことを

認識し、この国の王であることを今、感謝すらした。




ヘレナはカインに歩み寄り、ハンカチを手渡す。

見上げながら、言う。ちょっとヘレナも涙腺崩壊してはいる。


「ー 国民に愛されてて、よかったね 」

(こいつ、嫌いだったけど、ええやつやん)


国民に愛される、というのは口で言うほど簡単なことではない。

王とは国の父なのだ。



ヘレナを見下ろしたカインは、ヘレナを抱きしめていた。

「ー ありがとう 」










ユージーンがすぐさま引き剥がしにかかった。



「ヘレナ、これに近付くな、病気になる。」


カインはムッとした顔をする。



「まだ、決着はついてない」


そう言って、後ろからヘレナの腰に手を回した。

ユージーンもヘレナの正面から腰より少し上に手を回す。


2人の超絶イケメンに挟まれた王妃ヘレナは

サンドイッチされた状態だ。


「決着?ー そんなものつけなくても、もう答えは出てる」


ユージーンは自信たっぷりで言い放つ。

2人同時にヘレナの左右の耳元で名を呼ぶ。



「ヘレナ」



当のヘレナはこのサンドイッチ状態に

頭が沸騰してしまいそうだ。

密着度は有名な強力接着剤のように高密度だ。

似たり寄ったりな2人が、耳元で名を呼ぶなんて

カオスである。



ヘレナは周りを見回すと、すでにもう皆歓談し始めていて

こちらのことなんか気にしていないようだ。

なんだか仲良さげなのが腹立つ。



たぬきち軍師は、ルイと固く握手し笑っている。

それはまぁいい。許す、許さざるを得ない。

サスケは側近ヘンリーと仲良さげに話している。

お前は仕事しろ。護衛しろ、護衛しなさい。




「ちょ、っと。たす、け..」


(こ、こいつら...聞こえないフリしてやがるわ)



「ヘレナ、俺はあなたを幸せにする。ー」

カインは何かのタガが外れたようだ。ぶっ放し始めた。

気のせいだろうか、腰がヘレナにピッタリくっついている。



「ヘレナ。もう、帰ろう。用事は終わったし

 あとはフィリップに任せよう。」

ユージーンはその手に力を込めているし、

彼こそヘレナにピッタリくっついている。



ワナワナと震えるヘレナに軍師の声が届く。




「あぁ、カイン、我々の国の名だがね、 ー」



軍師は立ち上がりつつ、カインに声をかけた。


カインの目は、ヘレナをじっと見つめたままだ。

ー この光景にもう一方の似たデジャヴュを感じる。

...血か...。




軍師はお構いなしに、胸ポケットからクリスタルを取り出した。

クリスタルでできたキングの駒だ。

そっと机の上の書類の上に置いた。




ー 軍師のその顔は、微笑みで割れんばかりだ。




「ー エルンハスト国、だ。


  ノンネッセ(存在しない)国、だなどと

  

  不名誉な名で呼んでくれるなよ ー 」






そう言って、軍師とルイは部屋を出た。

サスケも、側近と部屋を出る。

側近はカインに満面の笑みを浮かべる。


部屋を出る時、サスケはヘレナに両手を合わせて

口をパクパクと言葉を発する真似をしながら、ペコペコしていた。




「 ご、 め、 ん、  む、  り、 」








絶句。 ー 。




逃げる口実はもう、ない。













「 きょ、 ー 協議してぇ!!!!!! 」










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