第28話 現代その23


ミクがカナへラインを送る…。 


「なんかおかしいの。とっても嫌なことが起こりそう」


「ミクは気にしすぎるからね。で、今度は何なの?」  


カナがラインを返すも、ミクからは連絡が途絶えた…。




磐田の「目」のA、平塚の「足」のK、小田原の「手」のM…そして掛川の「耳、首」のミク。


4人はおリョウの「魔」に取り憑かれ、毎夜毎夜と、ここ陣ヶ下でおリョウの身体を掘り起こしていた。


渓川に敷詰めた小石を掬い、汚泥と廃棄物を取り除くと古い岩石が現れ、指をたてて岩石を除ける。


泥で濁った渓川のせいか、岩石の下から茶色く色褪せた人骨が現れた。


河原に人骨を横たえると、その人骨の上に蒼暗い炎が浮かぶ…。


蒼暗い炎は四方に別れ、佇むA、K、M、それにミクの4人の身体に纏って燃えている。


4人の虚ろの目に蒼暗い炎が写ると、炎は人の姿に変わっていく。


乱れ髪を唇に咥え、妖艶な女の姿に纏わりつく蒼暗い炎…。


咥えた髪を指先で払い、女はスゥーっと息を吸った。


4人の姿は炎となり、炎を女が吸い込むと、4人は足跡だけを残して消えていった…。


「ははは…蘇ったぞえ…」


磐田のAの賢さ、小田原のMの力強さ、平塚のKの美貌、そして掛川のミクの若さを吸収し、復活を遂げた、おリョウが妖しく笑っていた…。


今から行くよ…お前さん…。




「Sちゃん、ミクから連絡あった?」


連絡が途絶えたミクを心配し、カナは作者である私にラインを送った。


「いや、連絡は来てないよ」  


「ミクから何か嫌な気がするってラインが来たんだけど、それっきり返事がないんだ。電話しても繋がらないし…」


「いつから?」


「一昨日から」

 

「私からも連絡してみるよ…返事が来ないようなら、明日にでも様子を見に行ってくるよ」


「風邪でもひいて、寝込んでるのかな?」


「判らないけど、明日昼間に行ってみるよ。したら、すぐにカナちゃんに連絡するから」


「うん、お願いね」

  


私はミクへラインを打った。


しばらく待ち、返事が無いので電話をしたが、呼び出し音も鳴らず、留守番電話サービスのアナウンスが聞えた…。



スマホを閉じ、まさかと、あの一連の怪奇話と結びつける事も考えずに、私は布団へ入った…。


灯りを消し、何度も寝返りを打つが、寝つけないまま私は、スマホを開き、自分のブログを開く。


メッセージがあった。

 


気づいたかえ?



そして、暗闇の部屋の中、私の後ろには蒼暗い炎が浮かんでいた…。

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