第27話 現代その22


保土ケ谷奇談と題をつけ、くどくど長々とこの小説を書いている。


私は真相には辿り着けないだろう。


全ては仮説で成り立っているのだから…。


いや、真実もある。


「目」、「耳または首」、「足」、「手」に取り憑かれた人々が、この保土ケ谷へ移り住み、今もそれらの声を聞いているではないか…。


そして、声を聞く彼等は何か嫌な気がする…誰かが不幸になると言う。


真実、真相に行きつければ、誰かの不幸は回避出来るかも知れない。


いや、回避出来ると信じているからこそ、私はこの小説を書くのだろう。


恐らく、「誰かの不幸」は、すでに始まっているのでは無いかと私は不安に駆られている。


私の持つ人脈を介して高名な除霊師、高僧にも話をつけている。


だが、「怨霊?」に接しているあの4人とここ数日、連絡が取れないのだ。


この事がより一層の不安に拍車をかけているのである。

 

私はこの小説を何度も読み返し、全ての事を再認識することしか出来なかった。


パソコンを開き、保土ケ谷奇談の小説を読む。


自分で書いたのだから、全て頭に入っている。


だが、文字にすることで、書いた文章の裏に、まだ気づかず書けなかった事柄があったのではないか?


あるはずだ。


何故なら、「気づいた?もう気づいたよな?」と、コメントをする人物がいるからだ。


全てを知り、私に問いかける謎の人物。


私は「気づきました」と、フェイクの記事をブログにあげた…。


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