第22話 現代その15


私は掛川出身の女子大生、ミクの返事を待ちつつ、磐田市と小田原から保土ケ谷区へ移り住んでいる「目」と「手」に遭遇したAさんとMさんに連絡をとり、メールながらも話を訊くことが出来た。



小田原出身のMさんは、お伊勢さまの御朱印はあったかどうかは判らない。


お守りは自分も亡くなったお母さんも持ってはいなかった。


保土ケ谷への移住は、ネットで探したが最初にヒットした物件で即決した。


Mさん本人いわく、自分は物事を即決する性格ではないのに、アパートに関しては、引き寄せられる様に決めたと…。 


霊感に関する事は、自分には判らないが、ただ先日も話したように、嫌な予感などはよくあったと言った。



私が思うに、やはり、彼は感性が鋭いのだろう。



磐田市出身のAさんも、霊感は「目」を見た自分にはあるのかもしれないと言う。


お伊勢さまの御朱印は実家にあった。


お守りは自分は持って無いが、死んだ夫は持っていたと言った。


「サキチ」と言う名前は知らないが、伊勢神宮で先祖が施しを受けたことがあると子供の頃、聞いたことがあった。


そして、「目」はやはり、最近、見つけた…後は私を見つけるだけと言っていたとの事だった。




私はやっとこの一連の話の真相への糸口が見えたような気持ちになり、かなり高揚していた。


共通点が見えてきたからだ。


ミクからの返事次第できっと確信をするのだろうと、ミクからの返事を心待ちにしていた…。



数日後、わざわざミクは祖母の元へ行って聞いてくれたみたいだ。


連絡を貰い、御朱印はあったとラインで聞いたが、お礼にと、食事をご馳走する事になった。


今度はカナも来ると言うのでやはり、横浜駅近くの居酒屋で待ち合わせをした。



「Sちゃん、お久しぶりー」


相変わらず、カナは元気だ。


「ミクちゃん、わざわざ聞いて来てくれて、ありがとね。二人共いっぱい食べてね」


カナはもちろん、おとなしいミクもすっかり私に打ち解けて、このおぞましい「聞いてるだけ」以外のところでも、ラインで日常会話をしているので遠慮はない。


二人共、私を友人…いや、親戚のおじさんか歳の離れたイトコみたいに感じているのだろう。


私もカナとミクには、私の娘の様に感じている事は否めない。


こんな可愛い娘達に、もしも危険な事があるならば、私はなんとしても阻止をしたい。


その為には、真相を掴み、対処をしたいと心から願った。


「Sちゃん、ラインでも言ったけどちゃんと先に話すね」

 

ミクはカナの影響か、私の事をSちゃんと呼ぶ様になっていた。


「酔う前にね…ミクは弱いんだからね」


カナは大学生になってかなり、酒に強くなったみたいだ。


「カナこそ、飲み過ぎないでよー」


「大丈夫!今日はミクんち泊まるからね…Sちゃん酔ったら、私達、ちゃんと送ってよね!」


「あはは…大丈夫、判ったよ」


ミクが祖母から聞いて来てくれた話をし始めた…。

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