第21話 現代その16

Sちゃん、あのね、ラインでも言ったけど、やっぱりお伊勢さまの御朱印、あったって。


お祖母ちゃんがお祖父ちゃんのとこお嫁に来た時、見たって言ってた。


それと一緒になんか、金一両、横浜保土ケ谷宿、サキチよりって書いた紙と一緒に見たって。


昔、御先祖がそれを貰って、行商人を始めて今のうちの店になったって言ってたよ。


だから、うちの店の屋号、さきよしって言うんだけど、サキチは先の吉だって、さきよしに御先祖が屋号を決めたんだって、知らなかったよ。


さきよし屋○○呉服店だよ。


ミクんち老舗の呉服屋さんだもんね。


カナが言葉を挟む。



店はお祖母ちゃんのとこだよ。


そうそう、死んだパパのお祖母ちゃん。


ママは、店一緒にやってるよ、お祖母ちゃんと…。


うん、お伊勢さまのお守りは誰も持って無いよ。


ユイは持っていたけどね。



あたしんちは御朱印もお守りも無いなぁ。


カナが言う。


そうそう、御先祖様ね、店を持てた時に保土ケ谷までサキチさんにお礼を言おうと、保土ケ谷まで探しに来たんだって、でも、見つからなかった。


で、お天王さまって神社にお参りして帰って来たらしい。


だから、お天王さまのお守りなら持ってたって。


「お天王さまか…橘樹神社だね」


そうそう、天王町だから、まだ行ったことないけど、今度参拝してみたいな。


うん、まだ聞こえるよ。


聞いてるだけ…やっと聞えた…後は私を探すだけって。


うん、何かあったらすぐに連絡するね。


少し嫌な予感がするんだ。


私じゃなくて、誰かが恐ろしい事になりそうで…。


怖いより…なんて言うかな?


やっぱ、嫌な予感って感じ。



ミクは自分は霊感無いって言うけど

、霊感強いって私は思うよ。


先を感じるって感じかな?


カナが私の思った事を言ってくれた。



体験者、4人の話の共通点より「サキチ」が重要人物だと言えよう。


この「サキチ」なる人物を調べる事は出来ないものか?


後日、私は保土ケ谷図書館へ行く事となる。



ミクが話し終えて、私達は話題を変え、学校の友人やバイト先の話や、私の書く小説の裏話などをして、3人で笑った。


夜も更けて、そろそろ送ろかと言った時に、ミクが目を見開いた。


今、聞えたよ。


全部揃った…。


私が私を呼んでいるって…言った。



タクシーでミクのアパート前で二人をおろすと、ミクは言った。


Sちゃんご馳走さま、嫌な感じが強くなったから、Sちゃんも気をつけてね…。


私は頷き二人を見送った…。


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