第10話 江戸話その1

読者諸君には申し訳ない。


ここで少し、過去の話をさせていただく。


まだ、連載中のこの小説だが、今、作者である私は、現在この一連の怪奇な出来事はもう少しで全て明らかになりそうなのだ。


何故この一連のおぞましい事件の発端は、この江戸時代の保土ケ谷から始まったからである。


読者諸君、皆様の参考になると信じて、この話に少しだけ耳を傾けて欲しい…では…。




頃は文政13年、ひとりの男がのぼりを持って、何やら周りに叫んでいた。


ここは、江戸の日本橋。


人々が忙しなく行き交う日本橋。



「おーい!お伊勢さまに御札が降るぞー!早うひらわんと、ご利益にありつけんぞー!」 

  

「さぁさお伊勢参りじゃ、ぬけまいりじゃ!」

 

「オイラは行くぞ!お伊勢参りじゃ!」


男がのぼりを持ち上げ、歩き出すと我も我もと列を作り西へ西へとついて行く


品川宿につく頃にゃ、北の国から来た者達と合いまって、百が二百、二百が四百と膨れ上がり、ええじゃないかの掛け声にまだまだ人は増えていく。


一生一度のお伊勢参りじゃ、この機を逃すなと着の身着のままの村人や、金を溜め込み物見遊山と洒落込む旦那衆も加わって、お伊勢参りの参拝は巨大なうねりとなり、異常な熱気に包まれていた。


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