第19話 現代その13
ラインで、掛川出身のミクに連絡を取る。
また、話を訊きたいと伝えると、また、会って話すと言う。
今回は横浜駅近くのカフェで待ち合わせをした。
「お久しぶりです」
「時間を作ってくれてありがとう。今日はひとりなの?」
「ハイ、カナは遠いし、今回はパスだと言ってました」
私はアイスコーヒー、ミクはミルクティーを頼むが、私の勧めでパフェも頼んだ。
パフェを食べ終わるまで待って、私はミクに質問をする。
「ユイちゃんだっけ?なんでユイちゃんだけ死んじゃったのかな?」
判りませんが、ユイはあの「聞いてるだけ」の霊に取り憑かれたんだと思います。
最初の声はユイから出たものでしたから…。
「うん、でも、ユイちゃんが亡くなってミクちゃんの頭に囁やきが聞こえてきたんでしょ?」
そうです、きっとユイが死んだから、私に霊が移って来たんだと思います。
「それって、嫌な言い方だけどミクちゃんに取り憑いたって事かな?」
そうかもしれませんね。
ただ、囁やきが聞こえて来ると、背筋が凍るって感じですかね?
怖いんですけど、それは私に何かが起きるのでは無く、別に不幸が起こるって感じですかね…兎に角、怖くても私には危害は無いと確信していた…今もそう思ってます。
聞いてるだけ…今はね。
そう囁やくだけですから…。
「そうなんだよね。他の人に話を聞いても、皆、最後は、今はね…って言っているんだな…これっていずれ何かが起こる、何かを霊がするって事じゃないかな?」
そうですね…そうかもしれませんね。
でも、私を取り殺したいのならば、とっくに殺してますよね?
ユイみたいに…。
「それって霊の気まぐれかな?話を戻すけど、ミクちゃんとユイちゃんは何が違ったのかな?例えば、家柄、持ち物みたいな何て言えば良いかな?」
家柄は判りませんが、そう言えばユイは小さな頃より親から貰ったって言う、お伊勢さまの古い御札の切れ端をお守り袋に入れて、いつも持っていましたよ。
他のキーホルダーと一緒にカバンにぶら下げていましたから。
なんか、大昔、爆発的にお伊勢参りが流行ったって言うか、何十万人、何百万人と大移動でお伊勢参りをしたんですって…。
「あぁ、おかげまいりとかええじゃないかとか言うやつだね?ユイちゃんの御先祖がその時、お伊勢参りに行ったのでしょうね」
判りませんが、お伊勢さまの古い御札の切れ端だと言っていました。
私は、私の家には御札は有りませんが、親に聞いたら、うちの御先祖もお伊勢さまへ行って、御札は貰えなかったが、お金を頂き生き抜く事が出来たと伝わっていると聞きました。
よくわからない話なんですが…。
「カナちゃんとはイトコだよね?」
ハイ、母とカナの伯母さん、カナのお母さんが姉妹なんです。
「母親方のイトコですね…ミクちゃんは霊感は無いって言ってたけど、ホントはどうなの?」
自分では霊感は無いと思っていましたが、「聞いてるだけ」を感じてからはもしかしたら、私にも霊感はあるのかなって思っています。
他の霊を見たり感じたりは出来た事は無いのですが、よく、寒気がしたり、嫌な感じがする事はありましたから…。
「今もまだ聞こえる?」
えぇ、この前聞こえました。
「聞いてるだけ…やっと聞えた…後は私を探すだけ…」
って言ってました。
「私を探す…」
そうです。
私を探すって言ってました。
ミクはバイトがあるからと帰って行った。
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