第5話 現代その5

素人の小説を書くために、何でこんなに一生懸命になるのか自分でも判らなかった。


書いたところで本になるわけでも、ましてはお金の収入に結びつくわけでもない。


友人から道楽だねっと言われても、頭を掻いて苦笑いするだけだ。


しかし、ブログのコメント欄に誰かから「気づいた?」なんて書き込みがあったのだ。


気づいた?


気づかない…。


なんか悔しい。


道楽でも趣味でも何でも良い。


私は半分意地になり、情報を集めるべく片っ端から知人、知人から紹介された人に会い、はたまた、自分のブログやSNSで情報を聞かせてくださいと呟きまくった。



色々と私や私のブログ、SNSに連絡が来た。


この見てるだけと聞いてるだけに関するものとは思え無かったが、何人かの人々に話を聞かせてもらうが、やはり新たな情報は手に入らなかった。



今、判っているのは、見てるだけは磐田市で現れ 、聞いてるだけは掛川だ。


そして、この体験者が共に、今、横浜市の保土ケ谷に住んでいると言うこと…。


一致しているのは、なになに、しているだけ…と言う言葉と保土ケ谷で今も摩訶不思議な目や囁やきが聞こえている事…。


保土ケ谷に関しては偶然としか思えない。


私も住む保土ケ谷の住人は、それこそ全国から移住して来ているのだから…。


他の怪異はないものか?


もしその体験者も、今、保土ケ谷在住ならば、偶然ではないのかもしれない。


私は話を聞かせてくれそうな人々に片っ端からアクセスした。


その中でなんと、保土ケ谷在住の人に話を聞かせて貰う約束を取り付けた。



カフェで待ち合わせをする。


時間通りにやって来たその人は、清楚な顔立ちの美しい女性だった。


互いの自己紹介をし、録音することの許可を得た。


そして、彼女は静かに話し始めた…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る