第55話 鶴の一声

「それで? いきなり聞くけど香菜と付き合ってるんだってね」


「は、はい! か、香菜さんとお付き合いさせていただいてます!」


怖い怖い怖い怖い、家に入る前から圧は凄かったけど、家に入ってからもその圧がおさまることはなかった。


「しょうね~ん、私のかわいいかわいい、香菜と付き合ってるんだって~そんなの…」


「「絶対に許さないから!!」」


「………」


香菜さんのことが大大大大大好きな誠太さんと渚咲さんだ。簡単には香菜さんとの交際を認めてもらえないだろう。と思っていたのだが…


「お父さんもお姉ちゃんも、私は勉君に告白されてすっごく嬉しかったの。だからね、私たちが付き合うのを認めてほしいの」


そう、香菜さんが言った…すると、


「まぁ、香菜が言うなら…」


「香菜、少年と付き合うのを認めるけど、、浮気されたら言ってね。お姉ちゃんが少年を…」


なんで!? なんでそこで言うのをやめるの!?

もし浮気したらどうなるんだ!?

絶対にしないから、心配する必要はないんだけど!

でも、さすが香菜さんだ。鶴の一声で、二人を納得させてしまった。


「話は収まった? ちょっと早いけど、年越しそばを食べましょうか」


未来さんに言われ、松海家+僕で少し早い年越しそばを食べた。




***



「それじゃあ、失礼します」


「今日はありがとうございました。大晦日なのに来ていただいて」


年越しそばを食べ終わった後、僕は帰ることにした。僕と香菜さんも大晦日は家族で過ごすという考えだったからだ。本当はもっと香菜さんと一緒にいたかったけど。


「あ、あの! それで…」


「ん? どうしましたか?」


「あ、明日、一緒に初詣行きませんか?」


「もちろんです。ぜひ、行きましょう」


「よかったです!」


行きましょうと言った途端、香菜さんの顔がパァっと明るくなった。

可愛すぎる!!!!!!!!


「それじゃあ、良いお年を」


「香菜さんも、良いお年を」


新年、初詣デートの約束ができ、僕は早く年明けないかなぁと思った。

年明けまであと9時間。


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