第53話 何かいいことあったでしょ

今日は12月26日、クリスマスに勉くんに告白された次の日、昨日のクリスマスは夢だったのかもしれないと思っていたが、今日は今までなかった。勉くんから、おはようございます、のLINEが来た。嬉しくてあんまり眠れなかったはずなのに、そのLINEで完璧に目が覚めてしまった。


リビングに行くと、お母さんとお姉ちゃんがテーブルに座っていた。

お父さんは年末で仕事が休みなのでまだ寝ているのだろう。


「香奈、ちょっとここに座って」


「ん? どうしたの?」


なぜ、お姉ちゃんに呼ばれたのか分からないまま、椅子に座る。


「早速、本題に入るけど、何かいいことあったでしょ」


「えっ!?」


もちろん、いいことと言えば勉くんに告白されて付き合ったことなのだが、お母さんにもお姉ちゃんにも言ってないから、なぜバレたのか分からなかった。


「その反応、やっぱりなんかあったでしょ!」


「な、何もない! 何もないから!」


「何〜、何があったのー?」


「もう! お母さんまで! じゃあ、逆に聞くけど、どうしてそう思ったの?」


「それは…昨日、香奈がに遊びに行って、鼻歌歌いながら帰ってきたし、明らかに行きと帰りで雰囲気が違ったから」


「……雰囲気って?」


「う〜んとね、行きは悲しそうだったんだけど、帰りはなんて言うか、人生最高!みたいな感じだったよ」


「……本当に?」


「本当、本当、なんか凄い嬉しそうだったよ」


「お母さん、本当?」


「本当よ、久しぶりに香奈が嬉しそうにしてたわよ」


「それで? 何があったの?」


「教えて〜香奈〜」


まだ付き合って1日目なのに言ってもいいのだろうか、まだ言うのは早いんじゃないかと思っていたが…


「ねぇ、何があったの?」


「教えて、教えて〜」


「実は…」


ごめんなさい、勉くん。私、隠し事できないみたいです…


「彼氏ができました」


「えっ!」


「嘘! 本当!?」


今、話している2人にギリギリ聞こえるくらいの声量で言ったはずなのに、途端に2階が騒がしくなって、お父さんがリビングに降りてきた。


「か、香奈! そ、それは本当か!?」


「……ほ、本当です」


「誰なの? もしかして……勉くん?」


流石お母さんというのだろうか、正確に当ててくる。


「……はい、そうです」


私は顔から火が出るほど言うのが恥ずかしかった。


「香奈…」


お父さんに反対されるかと思ったのだが…


「1回、勉くんを家に呼んでくれないか?」


「ど、どうして?」


反対…ではなかったが、勉くんを家に呼ぶ? どうしてそんな事をするのだろうか?


「勉くんと話がしたい」


ちなみに、お姉ちゃんは私が彼氏ができたと言ってからずっと気絶していて、本当に驚いた。

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