第50話 今日で最後に…
12月25日クリスマス、私は今日で勉くんと関わるのを最後にする。
もちろん全く関わらないわけじゃない、勉くんに何か聞かれたらもちろん答えるし、表面上は今までとほとんど変わらないようにする。
そしたら何が変わるかというと一緒に遊びに行かないことだ。
勉くんと一緒に遊びに行き、誰かにその姿を見られることで、勉くん、そして勉くんが好きな人にも迷惑がかかってしまうからだ。誰だってもしも告白された相手に異性の影があったら、その人の告白を素直に受けられないだろう。私だってそうだ。
「それで…結局どこ行くんですか?」
電車に乗って数分、ずっと気になってる事を香奈さんに聞いてみた。
電車的に街の中心部に行くような感じだ。
「さっきから言ってますが内緒です。着いてからのお楽しみです。昨日色々調べていたら凄いの見つけたんです。昨日言えばよかったんですけど…今日夜遅くまで大丈夫ですか」
「あぁ、それは大丈夫です。今日母さんに遅くなるから晩御飯いらないと言ったら…」
「言ったら…どうしたんです?」
「根掘り葉掘り聞かれました」
「そ、そうですか。大変でしたね」
実際すごい大変だった。今日、晩御飯いらないと言っただけなのに、いつ! どこで! 誰と! 何をするの! と聞かれた。まるで夏休みのしおりに書いてあったやつじゃないか、今日はクリスマスだから、冬休みのしおりか? というか、いつってのは分かるだろ! 今日ってもう言ってるからな!
「クリスマスとはいえ、混んでますね」
「そうですね、クリスマスですもんね」
電車内はとても混んでいて、座席に座るのは絶対に無理なので、まぁ立っているのだが、立っていることに問題はないのだが、体勢が非常にまずい。
香奈さんもすでに気づいていると思うのだが、
今、僕は香奈さんに対して壁ドン状態になっている。
最初は良かったんだ、最初は。
初め、案外車内は空いていて、全然普通に立てていたのだが、
進むにつれ、人がどんどん入ってきて、どんどん人1人に対して使えるの床の面積が少なくなっていき、群衆雪崩とまでは行かないがそれに近しい状態まできて、
とりあえず、香奈さんが辛くないようにある程度のスペースを取れるようにしたら、こうなった。
さらにまずい事が、匂いだ。
僕の匂いではない、香奈さんの匂いが距離が近い事で鼻腔に直で入ってくる。
どうして女の人はめちゃくちゃいい匂いがするんだ!
早く目的の場所についてくれ!
おかしくなりそうだ!
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