第49話 クリスマス

今日は12月25日、クリスマスだ。ちなみに僕のクリスマスは小学校で終わった。薄々気づいていたが、中学生になって僕のところにサンタさんがプレゼントを持ってくることはなかった。

昨日来たLINEによると午前9時に駅に集合なので、早めに寝ようと思い、ベットに入ったのが夜10時だったのだが、緊張でほとんど眠れず、ようやく寝れたのが2時で、起きたのが4時だった。もう少し寝たかったが、しかしこれもまた緊張で目が覚めてしまい、二度寝することはできなかった。寝坊するよりはマシだと自分に言い聞かせ、準備をし、家を出たのが、朝8時だった。家から約束の駅、最寄駅なのだが徒歩で10分ぐらいなので、まだ時間あるなと思い、少し遅めに歩いたのだが、駅に着いたのは8時15分だった。約束の時間の45分前なので、香奈さんは流石にいないだろうと思い、辺りを見渡したが流石にまだ香奈さんはいなかった。


そこから30分後…


「すみません! 遅くなりました」


「大丈夫です、今来たところなので」


僕はまた嘘をついた。


「勉くん! 手! 出してください!」


香奈さんに言われた通り、手を出すと…

ガシッと手を握られる。


「か、香奈さん!?」


「やっぱり冷たい…いつ来ましたか?」


「いや…5分くらいですよ…」


またギュッと手が握られる。


「………30分くらいですかね」


「やっぱり…」


「い、いや、9時より早く来た僕が悪いんで気にしないでください」


「そ、それじゃあ、勉くんの手が…」


「大丈夫ですから、気にしないでください」


「……そうです!」


「香奈さん!?」


香奈さんが急に手ぶくろを脱ぎ始める。


「これ! 使ってください!」


「そ、それじゃあ、香奈さんの手が…」


「私は今までつけてきましたから大丈夫です」


「そ、そうですか…」


香奈さんに渡された手ぶくろをつける…

僕は手が小さい方なので香奈さんの物でもすんなりつけることができたが、

問題はそこじゃない。

問題はさっきまで香奈さんがつけていたことだ。

さっきまでつけていたことは温もりがまだ残っている…

香奈さんの…温もりが…

キモい! キモすぎる!

そんなこと考えるなんてキモいにも程がある!


「? どうしましたか?」


「い、いや、何でもないです」


香奈さんの手の温もりを感じてましたとかキモすぎて言えるわけがない!


「では、行きましょうか」


「そういえば、今日はどこ行くんですか?」


「ふふ、行ってからのお楽しみです」

 

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