第46.5話 ちょっとまってね

12月に入り少しして、うみちゃんが家に遊びに来ていた。

今日はあいにく雨だったので、外に出かけはせず、家で遊んでいたのだが、

突然、うみちゃんが……


「陸くんに会いたい」


「えっ?」


「陸くんに会いたい」


「え? えっ? き、急にどうしたの?」


「陸くんに全然会えてないから、会いたい、寂しい。どうすれば陸くんに会える?」


「今日雨だし、今から陸くんに会うのは難しいんじゃないかなー?」


「じゃあ、電話でもいい」


「で、電話……」


「私、陸くんの電話知らないよ、うみちゃん」


「あの陸くんと一緒にいたお兄ちゃんの電話知らないの?」


「し、知ってるけど」


「じゃあ、かけて、お願い!」


「陸くんのお兄ちゃんに電話かけても、陸くんには会えないよー」


「それでもいいの、かけて!」


勉くんが私の事を異性として見てないと聞いてから、もう2ヶ月も経ったのだが、その間一言も口を聞いていない。ただどう接すればいいか分からず、2ヶ月も経ってしまったのだが、そんな相手から急に電話がかかってきたら一体どう思うんだろう。いろんなパターンが頭をよぎり、ますます電話がかけられなくなってしまう。

私が勉くんに電話をかけるのを渋っていると…


「早く! 早く電話かけて! スマホ貸して!」


うみちゃんがパッと私のスマホを取り、電話をかけようとするが……


「ち、ちょっとまってね! 私がかけるから!」


すぐに取り戻し、通話ボタンを押そうとするが……

急にスマホのディスプレイに勉くんの文字が表示された。


「え! え? つ、勉くん?」


すぐに応答ボタンを押し、答える。


『つ……勉くん……ですか…?』

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