第43.5話 僕は嘘をつく other side story

夏休み明け、私はすこし寝ぼうしてしまい、学校に着くのがすこし遅くなってしまった。

なぜなら勉くんに会えると思ったら、少し緊張してしまい、夜なかなか寝る事ができなかった。3日前に会ったばかりなのに。

教室の前まで着いた時、教室の中で何か喋り声が聞こえてきた。

もちろん、1ヶ月半という長い期間空いていたので積もる話もあるだろうと思っていたが、

クラスの様子がおかしい。

まるで1人に詰め寄っているような……

案の定、予想は当たり、みんなに詰められているのは勉くんだった。

話の内容はどうやら、私たちの関係についてだった。

そりゃあ、夏休みあんなにたくさん一緒に遊んだんだから、そう誤解されてもおかしくない。

そうか〜私たち付き合ってるみたいに見えちゃったのか〜、けど、ま、まだ告白してないし……まだ、恥ずかしいっていうか……

付き合ってないから、勉くんも困ってるだろうし、そろそろ教室に入って、勉くんを助けてあげないと、と思い、扉に手をかけようとしたとき、




「僕は、松海さんの事を友達としてはもちろん好ましく思ってるけど、異性として見ているかって言われたら、僕は見ていない」




その言葉を聞いた時、私は全身に急に力が入らなくなった。



勉くんは……



私の事を……



異性として……



見てくれてない……




一瞬何かの冗談だろうと思ったが、状況が状況だ。あの場で勉くんは嘘なんてつかないだろうと思ったが、それがさらに自分の心を苦しめた。

そして私は逃げ込むようにトイレに入った。

トイレの中で私はいったん自分を落ち着かせようとしたが、さっきの出来事がショックすぎてなかなか落ち着く事ができなかった。


時間にして約5分、

ようやく落ち着いてきたが、まださっきの出来事が理解できていない。

いや、理解したくない。

今まで長い間勉くんといろんなところに一緒に遊びに行っていたから、

少しは勉くんも意識してくれてるのかな? なんて思っていたが、

私の事をこれっぽっちも異性として見られていなかった事に絶望に近い悲しみを覚える。

もちろん今まで、いろんな人に告白され、たくさんの人から異性として意識されていたはずだ。確かにそれはあまりに多いと私は鬱陶しく感じる事が多くあった。

なるべく相手の方が傷つかないように対応していたが、

でも、好きな人、勉くんには異性として見てもらいたかった。

いや、初めて自分から見て欲しいと思っていた。


でも……


でも……


勉くんは私の事を異性として見ていない………


その受け入れ難い事実を私はその時理解する事ができなかった。




その日から私はどう五十嵐さんと接すればいいか分からず、

話しかける事ができなくなってしまった。

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