第41話 夏休み⑩+⑩+①

「次、あれやろう!」


「うん!」


ゲームセンターで偶然再会した僕と香奈さんは、陸くんとうみちゃんの2人に振り回されていた。


「2人とも楽しそうで良かったです」


「そうですね、うみちゃんが他の同年代の男の子とあんなに楽しそうにしてるなんて、初めて見ました」


「私、次あれやりたい!」


そう言って、うみちゃんが指差したのは、プリクラだった。


「うん、いいよ!」


陸くんは快く返事をする。それを見て僕は近くの椅子で座って待っていようかと思っていたのだが、


「香奈お姉ちゃんも、一緒に撮ろう!」


「えっ! 私も?」


「うん!」


「勉兄ちゃんも、一緒に!」


「えっ! 僕も? 僕はいいよ、ここで待ってるから」


「勉くん、一緒に撮ってあげましょ」


「いや〜でも、僕がプリクラなんて……」


「いいんですよ、今日の思い出です、撮りましょうよ」


「じ、じゃあ」


4人揃って、プリクラに入る。

入った途端、スピーカーから音声が流れる。


『最初はコースを選択してね』


まず、画面に何人で撮るのかという選択肢が表示される。

うみちゃんと陸くんはどうすればいいのか分からず、

僕たちに助けを求めるが、僕もプリクラなんて入ったことがなかったので、

必然的に香奈さんに助けを求める。

すると、香奈さんは手慣れた様子でプリクラを操作し、

あっという間に撮るモードに入った。


『最初はかわいくポーズ!』


と言われ、ポーズをとらなければいけないのだが、どんなポーズをとればいいかわからなかったので、結局ただのピースしてる写真になってしまった。

その他のお題もあったのだが、最後の最後までしっかりとしたポーズで写真を撮ることはできなかった。


「あはは、凄い顔!」


「勉兄ちゃん、めっちゃ目、デカい!」


「けど…香奈お姉ちゃんは凄くかわいい!」


「ありがとう、うみちゃんも可愛いよ」


「ふふ」と言いながら、照れるうみちゃんをじっと陸くんが見つめていたので、


「どうしたの、陸くん?」


「えっ!い、いや、な、なんでもない」


「そう、じゃあ、そろそろ帰るよ」


「あっ、じゃあ私たちもこれから帰るので一緒にかえりませんか?」


「うん!」


「一緒に帰る!」


「香奈さんがいいんだったらいいですけど…」


そこから4人で電車に乗って、先に香奈さんの家に香奈さんとうみちゃんを送った。


「勉兄ちゃん」


「ん? 何? 陸くん?」


「また、うみちゃんと遊べるかなぁ」


「そんなに仲良くなったの?」


「うん!将来、僕、うみちゃんと結婚する!」


「えぇっ!」


突然の結婚宣言に驚き、危うくこけそうになる。


「そ、それ、うみちゃんも聞いてるの?」


「うん!遊んでる時に約束した」


「そ、そう、結婚できるといいね」


驚きが冷めないまま家に帰り、スマホに電源をつけたら、香奈さんからのLINEの通知がきていた。


(香奈)もしかして、陸くんもうみちゃんと結婚するなんて言ってませんよね…… 18:43







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