第39話 夏休み⑩+⑨

「どれにするー?」


「うーんとね………うどん!」


「うどんね、うどん屋さんは…」


「あっち!」


「あっちね、じゃあ行こうか」


香奈さんはうみちゃんと2人でうどん屋さんに向かうらしい。


「陸くんは何食べる?」


「ラーメン! ラーメン食べたい!」


「ラーメン、ラーメン、あっ! あっちにあるね、あそこでいい?」


「うん! 行こう!」


陸くんに腕を引っ張られながら、ラーメン屋まで連れてかれた。

ラーメン屋は意外と並んでいて、結構混んでいる。

注文までに少し時間がかかりそうだ。


「陸くんは何ラーメン食べるの?」


「お子様ラーメン!」


「醤油、塩、豚骨があるけど……」


「しょうゆラーメン!」


「醤油ラーメンね」


陸くんから食べたいラーメンを聞き終わったところで、ちょうど注文の順番が回ってきた。


「ご注文をどうぞ」


「チャーシュー麺とお子様ラーメンで…」


「お子様ラーメンの味は…」


「醤油で…」


「あと飲み物は…」


「えっ!飲み物ですか」


「はい、お子様ラーメンはセットですので…」


「そうですか、陸くん、何飲む?」


「………オレンジジュース!」


「わかりました。オレンジジュースですね」


「それでは、こちらのブザーをお持ちになってお待ちください」


店員さんからブザーを渡される。


「わかりました。いくよ、陸くん」


「はーい」


フードコートはとても混雑していて、先に席を取っておけば良かったと後悔している。

周りを見渡すが、ポツポツと空いている席があるが、気付いたら他の人が座ってしまう。

なかなか座れそうな席が見つからない。


「先に席探しておけばよかったねー」


「そうだね、どうしようか」


と、途方に暮れていたら、スマホが震え、香奈さんからメッセージがきた。


(香奈)キッズルームで席が取れたので、来てください 13:17


わかりました、と返し、陸くんとキッズルームに向かう。


「あっ! こっちです」


キッズルームに入ると、香奈さんが見つけてくれたおかげで、席に座ることができた。

うみちゃんは先にキッズルームに設置されている遊具で遊んでいた。

それを見て、陸くんも遊びに行ってしまう。

それと同時に香奈さんが持っていたブザーが鳴り、


「すみません、うどん取りに行くので、うみのこと見ていてもらえますか」


「わかりました、手伝いましょうか? 1人なので落とすと危ないですよ」


「多分大丈夫です」


「そうですか」

少し心配だが、誰かが陸くんとうみちゃんを見ていないといけないので、

しょうがないなと思いつつ、

遊具で遊んでいる陸くんとうみちゃんを見る。

もうすっかり打ち解けたようで、2人で仲良く遊んでいる。


「子供ってすごいな……」


自分もまだ子供だろ、と思うが、子供のコミュ力は改めて凄いなと思った。

こんなコミュ力があったら、高校で友達もっと作れたのかなと思い、

そうして仲良く遊んでいる2人を見ていたら、


「うみー、うどん持ってきたよ、食べよう」


少し危なげに2つのお盆でうどんを持ってきた。


「食べるー」とうみちゃんは走って座っている席に向かってくる。

それと同時に僕が持っていたブザーが鳴った。

ラーメンができたようだ。


「香奈さん、陸、見ていてもらえますか?」


「はい、わかりました、結構危ないので、落とさないように気を付けてください」


「わかりました、気をつけます」






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