第35話 夏休み⑩+⑤

「次、それ切ってもらえる」


「はい、わかりました」


私は今、勉くんのお母さんと一緒に料理をしています。

勉くんは言われた通りに部屋に戻ってしまいました。


「香奈ちゃん、本当にお料理が上手ねぇ、勉と同い年とは思えないわぁ」


「いえ、そんなことないですよ、私だってまだまだですし」


「いやいや、勉なんて家事なんてほとんど手伝ってくれないのよ、それに比べて香奈ちゃんはしっかりしてて本当に偉いわぁ、そうだ、勉と結婚してくれないかしら」


「えっ!な、な、な、なんてこと言うんですか!」


突然の爆弾発言に驚いてしまう。


「勉はほとんど家事ができないから、香奈ちゃんみたいなお嫁さんがいたら、まともな生活ができると思ったんだけど、どう?」


「そう言われるのは嬉しいですけど…」


「そうよね、香奈ちゃん可愛いし、しっかりしてるから、彼氏いるでしょ」


「か、彼氏はいません」


「そう、じゃあ少しでもいいから、勉のこと考えてあげてくれない?あの子、ぶっきらぼうだから、友達なんてほとんどいないと思うのよ。香奈ちゃんみたいな可愛い友達がいるんだったら少しは安心したけど、それでも、少し心配なのよ。だからこれからもちょっとでいいから勉のことお願いできる?ごめんね、高校生にこんなに厚かましくて」


「勉くんは意外と、って言ったら失礼かもしれませんが、しっかりと周りを見て、誰かが困っているとしっかり助けてあげるんです。実際、私は何度も勉くんに助けてもらえました、なのでお母さんが心配してることはほとんどないと思いますよ」


「そう、勉は本当にいい友達ができたわね」


お母さんに両手をガシッと握られる。


「これからも勉のこと、よろしくね」


「はい、わかりました」


「そろそろできるわね、香奈ちゃん、勉、呼んでくれる?」


「わかりました」


勉くんを呼ぶために、勉くんの部屋の前にいく。

コンコンとノックをして、


「勉くん、晩ご飯できましたよ……勉くん?」


勉くんの部屋から何も反応がない。


「入りますよー」


何かあったんじゃないかと思って、勉くんの部屋に入る。


「ん?勉くん?」


スヤスヤと寝息を立てながらそこにはベットの上で寝ている勉くんがいた。



 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る