第33話 夏休み⑩+③

「いらっしゃーい、今日はゆっくりしていってね」


「はい、お邪魔します」


「いらっしゃい、香奈さん」


「今日は一緒にテスト勉強頑張りましょう、勉くん」


なぜこうなったかというと、話は海に行った日に遡る。

僕は家に帰るまでの帰り道、もちろん香奈さんと一緒で、

香奈さんのことが好きだと気づいた後だったので、めちゃくちゃ緊張してた。

手汗とかヤバかった気がする。

いつもなら先に香奈さんの家に着くのだが、なぜか香奈さんは家に入らず、

僕を送ると言ってきた。最初は断ったのだが、あまりにも頑なに家に入らないので、

根負けし、僕の家まで送ってもらったのだが、そこで鍵を持っていなかったことに気づき、

運良く母が家にいたので、インターホンでドアを開けてもらったのだが、

それが運の尽きだった。

初めて見る僕の女友達、そこに反応しないはずもなく、

香奈さんのことを根掘り葉掘り聞いてくるので、

香奈さんの前で説明するのも恥ずかしかったのだが、

晩ご飯を食べにいった人と言ったら、

じゃあ、今度は家にも食べにきてなんて言うから、心臓が口から飛び出るかと思った。

流石に断るかと思っていたのだが、

香奈さんは、はい、と2つ返事で承諾してしまい、今に至る。

そして!今!香奈さんが!俺の!部屋に!いる!

ど、ど、ど、どうしよう、と、とりあえず、お茶とか?出せばいいのか?

とりあえずお茶を持ってくる。


「か、香奈さん、お、お茶です。」


「ご丁寧にありがとうございます、勉くん」


「では、始めますか?」


「いや、その前に勉くんの部屋を探検したいです」


「へ?」


「勉くんのお部屋、前から気になっていたんです」


「だ、男子高校生の部屋なんて見ても面白いものないですよ」


「勉くんのお部屋だから見たいんです。だめですか?」


そんなこと言われたら、断れるはずもなく、


「う〜ん、あんま面白そうなものがないですね〜」


「ほ、ほら面白いものないですよね。さ、さぁ勉強しましょう」


「まだ、本棚が残ってます」


「ち、ちょっと、本棚は…」


「何が…もしかして…エ、エッチな本が…」


「そういうのはありませんけど、恥ずかしいんです」


「恥ずかしいんだったら、やっぱり…」


香奈さんはそういいながら、本棚に迫っていく、

本棚に集中していて、足元の本に気付いてない。


「香奈さん、危ない!」


「えっ!キャッ!」


香奈さんが倒れそうになるが、なんとか踏ん張って、

香奈さんをベットに倒すことができたまでは良かったのだが、

ガチャっとドアが開き、


「は〜い。おやつよ〜、ん?あぁ〜ごゆっくり〜」


そう言いドアが閉まる。




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