第32話 夏休み⑩+②

海で遊んだ帰り、僕らは電車で帰っていた。

優樹と愛さんはもちろん2人で一緒に座り、僕と香奈さんはその2人の反対側に座っていた。

なぜか、僕たちも隣同士に座り。


「あの、なんで僕たちも?」


「ふふ、いいじゃないですか」


「でも、他に席空いてますよ…」


いい時間帯だったのか、電車の中には、僕たち4人以外誰も乗っていない。


「あれ?2人とも、寝てますね」


いつの間にか2人とも寝てしまっていた。しかも、愛さんは優樹の肩に頭を乗せている


「すごい幸せそうですね」


「そうですね。私もしてみたいですね」


「え?」


「ふわ~あ。私も眠くなってきました。勉くん、肩貸してください」


「えっ!いいですけど…」


あまりにも自然だったので、反射的に返事してしまった。


「ふふ、では失礼して」


香奈さんが肩に頭を乗せてくる、海に入った後なのに、すごくいい匂いがする。


「勉くん、最寄り駅になったら教えテクダサイ」


そして、すぅすぅと寝息を立てながら寝てしまう。

あぁ、またドキドキしてる。

そりゃあ、学校の中で1番可愛い人が肩に寄りかかって寝ているなんて、

ドキドキしないはずがないが、最近はやけに多い気がする。

ドキドキする時は大体香奈さんが絡んでる。

香奈さんが…

絡んでる…

僕の肩に頭を乗せてスヤスヤと寝ている香奈さんを見る。

すごくリラックスしているように見える。

安心しているのだろうか、けど、

僕だってそうだ、香奈さんといる時はいつも安心して接することができる。

最初はコンビニで傘を間違えた、そんな些細なことから始まったこの関係、

だけど、

そんな些細なことから、

縁は繋がり、

いろんなところに一緒に出かけたりした。

その1つ1つの場所で起こった出来事が今でも昨日のことのように思い出せる。

そのくらい僕の中で、香奈さんという存在が大切になっていた。





あぁ、





ようやくわかった、





この胸のドキドキの正体が…





僕は香奈さんのことが…





好きなんだ






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