第24話 夏休み④ after story

「お邪魔しまーす」


「もう、ノックしてよ、お姉ちゃん」


「ごめん、ごめん」


夏祭りから帰って、今日はたくさん汗をかいたので早めにお風呂に入り、

部屋でゆっくりしていたら、お姉ちゃんが突然私の部屋に入ってきた。


「ねぇ、香奈」


「何?お姉ちゃん」


「好きな人できた?」


「えっ!」


私は思ってもなかった質問に驚き、数秒固まってしまった。


「え、え、えっと、どうしてそう思ったの?」


「ん?え〜っとねぇ、なんか最近妙に可愛くなったなぁって思って」


「い、いや、好きな人なんて…」


「いやいや〜ほらほら言ってみなよ〜」


「じゃあ気になる人は?」


「えっ!ん〜」


「えっ!今、誰考えたの?」


「いや!誰も考えてないよ!もう出てって!」


「はいはい。私は香奈が決めた人なら誰でも応援するからね〜」


意外にもすんなりとお姉ちゃんは部屋から出て行ってくれた。


「はぁ」


体育祭で友達に言われてからずっと、勉くんの事を考えてしまう。

正直、浴衣を褒められた時は本当に嬉しかったし、

いつも私のことを助けてくれる勉くんの事が

好………き………

あぁ、私は本当に勉くんのことが…

でも…

でも…

勉くんは私だけに優しいわけではない、

勉くんは意外と周りを見ているし、

誰かが困っていると、すっと手を差し伸べてくれる、

私に対してもいつも通りのことをしてるだけなのかな?

ちょっと愛想がないだけで、

喋ってみるとしっかりとした人ということが分かるし、

今でさえ勉くんの事を気になってる人がいると聞くし、

けど、勉くんを見ていると、気になる人がいそうな気がする。

女の勘って奴だ。

あぁ考えてるだけで悲しくなってくる。

そのことで頭がいっぱいで、一日中歩いて疲れているはずなのに、

布団に入ってからも一睡もできなかった。

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