第23話 夏休み④

「そろそろですね、花火」


「後3分くらいですかね」


「それで…渚咲さんは…」


「お姉ちゃんは…」


「「なんでそんなに…」」


「へ?」


そう言う渚咲さんの手には、右手にフランクフルト、左手にはチョコバナナ、

そして持っている袋の中にはお好み焼き、たこ焼き、じゃがバターと、お祭りを全力で楽しんでいた。


「えっ?これ?いや〜屋台を見てたら食べたくなっちゃって」


テヘッ、とわざとらしく舌を出すが、その舌はいちご味のかき氷を食べたため、

真っ赤に染まっていた。


「あっ!そろそろですね」


花火がひとつあがる、それに続けてドンドンと花火があがる。


「た〜まや〜」


「勉くん、綺麗ですね」


香奈さんが振り向き、花火から僕に向くその姿が…


「………あっ、き、綺麗ですね」


地上に咲いた花火のように綺麗だった。

後ろで大音量で花火が上がっているのに、

心臓がドクドクと脈打っていて全く聞こえず、

その姿が…

目から離れなかった。




「あ〜もう終わりかぁ」


その後10分花火が上がったが、その間香奈さんの姿が印象に残り過ぎていて、

何も頭に残らなかった。

その夏祭りの帰り道、


「いや〜楽しかったねぇ〜」


「ちょっとトラブルもありましたけど、楽しかったです」


「勉くん?どうかしましたか?」


「……えっ!なんでしたっけ?」


「ちょっと少年〜楽しかったでしょ、夏祭り」


「え、えぇ、楽しかったですね」


2人と話しているととても早く時間が過ぎていく、そして、


「私たちこっちだから、じゃあね少年」


「さようなら、勉くん」


「はい、さようなら。今日は楽しかったです」


香奈さんと別れて、家までの路地を歩いているが、ずっとモヤモヤしている。


「なんなんだこの気持ちは!!!」


さっきからずーっとモヤモヤしている。

香奈さんの姿を見てからずっと考えてるがこの違和感の正体がわからない。


「なんなんだこの気持ちは!!!」


家に帰ってからもずっとモヤモヤして、なかなか寝つくことができず、

夏休みだからよかったものの、人生で初めて徹夜?してしまった。


「誰か教えてくれ!」


「なんなんだこの気持ちは!!!」

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