第22話 夏休み③
復習問題です。
問 夏祭りに美少女がいました。何が起こるでしょう?
答 ナンパ
「ねぇ、今から俺たちと夏祭り回らない?」
「さっきから、何回も言っていますが。姉と来ているのでお断りします」
「え〜じゃあお姉さんも一緒に」
「友達もいるので本当にすみません」
渚咲さんがわたあめを食べたいと言い出した時に香奈さんはちょうどお手洗いに行っていて、トイレの前で集合とLINEで香奈さんに連絡をして、わたあめを買う渚咲さんに着いて行って少しトイレから離れたら、香奈さんがナンパされていた。
「あらら〜また、ナンパかぁ〜」
「やっぱり、ナンパって多いんですか?」
「そうだね〜多いね〜でも、まぁ香奈はすごく可愛いから仕方ないよね〜」
妹がナンパされているのに呑気だなぁと思っていた。渚咲さんのことだから、香奈さんをナンパした人をすごい圧でねじ伏せるもんだと思っていた。今まで気になっていた素朴な疑問を渚咲さんに聞いてみる。
「やっぱりそんなに多いと慣れるものなんですか?」
「まぁ、大抵の人は断ればすぐ諦めるんだけど、中にはめんどくさい人もいるからね〜」
「そういう時は?」
「そういう時は、強く言ってなんとかするんだけど、一番いいのは彼氏がいるって分かればいいんだよねぇ〜」
「今回はめんどくさそうだね〜早く助けに行こう」
「そうですね」
いまだに香奈さんをナンパしている人たちに近寄る。
「香奈さんお待たせしてすみません」
「ごめ〜ん香奈待った〜?」
「こちらがお姉さん?姉妹そろって可愛いね。僕たちと一緒に夏祭り回らない?」
「ごめんね〜私たちはこの少年と回ることにしてるから」
「えっ!そんなやつと回るよりも俺たちの方がいいよ」
「「そんなやつ?」」
空気が変わった。そんな気がした。
「おいおい君たちこの少年のどこがそんなやつなんだい?」
「今の発言を撤回してください。みなさん」
「だってそんななんか冴えないやつより俺たちの方が…」
「勉くんは優しくて、こんな私にも気を遣ってくれる、とてもかっこいい人です!!そんなやつなんて言わないでください!!!」
「香奈さん、僕はいいですから…ほら、周りの人に見られてますから」
「チッ、いいから、早く俺たちと回ろうぜっ!」
男が香奈さんの腕を掴んだ。
「キャッ!」
僕は咄嗟にその男の手を掴み、
「手を離してください!」
「なんだよ。お前さっきから」
「いいから、手を離してください!嫌がってるじゃないですか」
「おい!君たち!」
そう叫んだ渚咲さんは明らかに怒っていた。
「少しくらいのナンパいいけど、もしも香奈になんかしたら…」
「絶対に許さないからな」
すごい圧のかかった低い声でそう言った。
今まで重度のシスコンぶりを見てきたが、
ここまで圧をかける渚咲さんは初めてだった。
「チッ!いいよ、離してやるよ。ほら、これでいいだろ」
男が香奈さんから手を離した。
「もういいですよね。僕たちは夏祭りを楽しみたいので、これ以上僕たちの邪魔をしないでください。」
そのまま男は黙る。
「いきましょうか、香奈さん、渚咲さん」
「はい」
少し小走りでそこから離れると、
「すみません、遅れてしまって、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
「ごめんね〜香奈。私がわたあめ買いたいなんていうから…」
「ううん、気にしないでお姉ちゃん」
「少年もごめんね、巻き込んじゃって」
「大丈夫です。少し気分が下がっちゃいましたけど、花火、見にいきましょうか」
ナンパに対応をしていたら、いつのまにか19時45分を過ぎていた。
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